§::万華鏡∞日記::§

「定期記事」で①きょうの運勢②首相日録③きょうの言葉④DMMFX要人発言が主です。その他「映画」「音楽」「書籍」の紹介文や、雑記もあります。

【書籍】話題の本をピックアップ!ぜひ、ご紹介します!?/2022.12.19。(´・ω・`)


こんにちは、ハクです。


毎週日曜日、河北新報2版に「書籍紹介」があります。
試しまして、私もこちらでご紹介させていただきます。
あまりにも多いので「評」する紹介文がある本だけと致しました。


どうぞ、ぽちっと「折りたたみメニュー」で、ご覧くださいませ。宜しくお願い致します。


 ◇


【著者とひととき】
『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン…可能性広げた軌跡著す
    内山 マリコさん


★★★★[ 紹介文はこちら ]★★

  デビュー50周年を迎えた歌手ユーミンこと、松任谷由美さんの生い立ちから最初のアルバムを発表するまでを小説にした山内マリコさん。「道なき道を切り開き、女性の可能性を広げていったその軌跡を、フェミニズム的な物の見方も盛り込みつつ、なるべくフラットに描いた」と語る。

  小学生の頃に見たアニメ映画「魔女の宅急便」のエンディングで「やさしさに包まれたなら」を聞いたのが、ユーミンとの出会いだった。「音楽に感動した初めての体験でした」。以後、背伸びして新譜を追いかけた。

  小説の執筆を引き受けたのは、そんな原体験に加え、自身の作家性との共通点があったからだ。ユーミンは八王子という東京郊外の出身で、外から都心の文化を見つめる視点を持っていたと分析。「地方出身者の目線で、何者かになりたいとあがく女の子を描いてきた私のテーマと重なった」

  本人にも10時間余りにわかって取材し、八王子の実家も訪問。当時の街の情勢や時代背景も書き込みながら、ユーミンの少女時代を追体験できるように仕立てた。

  裕福な呉服店の娘として生まれ、幼い頃からピアノや三味線を習い、私立の女子校に進んだユーミン。そんな"恵まれた人"の成功譚は一見、共感しづらいもののようにも思える。だが「女が学校で学べる自由はあっても、学んだことを実社会で活かす自由はひどく限られていた」時代にあって、ミュージシャンという夢を持つこと自体が「それだけで物語の主人公のよう」と山内さんは捉える。

  グループサウンズに魅せられ、中学2年で新宿のロック喫茶に出入りするようになったユーミン。米軍住宅地でのライブにも臆せず足を運ぶなど「好奇心の赴くままに、いくらでも、どこへでも越境した」生き方は、どこまでも痛快に映る。

  コバルトブルーに見えた明け方の六本木、少女の思いが「海の向こうまで駆け出していきそうな」演奏…。まるでユーミンの楽曲のように「情景や空気感が伝わればうれしいです」。


(「すべてのことはメッセージ 小説ユーミン」はマガジンハウス・1980円)


【読 書】
『リバー』…事件をめぐる人々の思い
奥田 英朗(おくだ・ひでお)
1959年岐阜県生まれ。2002年「邪魔」で大藪春彦賞、04年「空中ブランコ」で直木賞、07年「家日和」で柴田錬三郎賞


★★★★紹介文はこちらです★★

 評・古橋 信孝(武蔵大名誉教授)


  10年前に群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川で発生し解決に至らなかった2件の若い女性全裸殺人事件と同様の事件が再び起こる。というショッキングな場面からこの物語は始まる。場所、被害者は10年の時を挟んで対照を成しているのだ。

  その不自然な符号は読者を引き寄せる。犯人は同一人物に違いない、なぜ10年の間があるのか、模倣犯の可能性は…などと謎解きへの期待も膨らむ。

  10年間、犯人逮捕に執念を燃やし続けてきた栃木県警の元刑事や写真館を営む被害者の父、かつて容疑を掛けられた男。そして、前の事件を知らない刑事や若手の新聞記者、刑事が出入りするスナックの女、新たな容疑者も。人々のそれぞれの立場、事件への関わりが紡がれた群像劇で、物語として純粋に面白い。

  評者がこの小説で興味をそそられたのは、刑事同士の「対立」も書かれず、被害者家族の「崩壊」も語られることなく、ほとんどの登場人物が淡々と、かつ温かく描かれている点である。読者は通常、恨みで直情的に行動する被害者の家族をやりきれなく哀れに思い、犯人の見当がつけられた人物には憎しみをおぼえるだろう。しかし、そうした感情はここでは生まれない。むしろ犯人でないことを願っていたりする。

  この小説は確かにミステリーではあるが、事件をいわゆる「謎解き」によって解決するものとは異なる。だいたいこの犯罪の動機自体はっきりしないのだ。1980年代後半くらいから、快楽殺人を書いたミステリーも増えてきたが、本作では殺人の現場そのものさえ書かれていない。殺しが中心にあるのではなく、人々の動き、関わり方に作家の関心があるからだ。

  著者が語ろうとしたのは、人々がさまざまな思いを抱えながら懸命に生きており、ある出来事をきっかけにそれらが一つの舞台に乗り、交わることで社会が成り立っているということではないか。人が懸命に生きることのみに、現代社会の希望があると語っているようだ。


 (集英社・2310円)


【読 書】
『幾千年の声を聞く』…現在を凝視 壮大な物語
青羽 悠(あおば・ゆう)
2000年愛知県生まれ。作家。16年に「星に願いを、そして手を。」で小説すばる新人賞を史上最年少で受賞しデビュー。


★★★★紹介文はこちらです★★

 評・間室 道子(代官山蔦屋書店コンシェルジュ


  5章から成る作品で、物語を1本の[木]が貫いている。大昔のある夜、光が地上に衝突し、くぼ地ができた。その真ん中から生えたと伝えられ、内部に建物や街を抱えるほど巨大な樹木である。
  第1章は、文明が未発展の頃。村で疫病がはやり誰もが死の恐怖におびえる中、[木]の声を聞き、人々のために祈る娘の物語が描かれる。

  第2章はこの少女を聖女にした宗教が誕生してから1200年後の科学の黎明期。村は国家となって軍隊を持ち、[木]はあることに利用される。

  次の章には自動車や電灯が登場。学問が細分化し、[木]に仕える者が運命に翻弄される。

  第4章の人々は日常的に小さな端末を手に生活している。核さと分断、管理社会が広がる物語を現代と照らし合わせ、ぼうぜんとする読者も多いだろう。さあ、[木]とはなにものなのか。

  読みどころは第5章だ。人類は飛躍的に進化したコンビューター「アシュア」に従って生きている。何一つ都合のない世界では、思考や喜怒哀楽は必要ない。無表情で無反応な人々が集まる中、アザムという男性と若い女性クゼリには知性と感情がある。どうして彼らだけが、という謎とアシュアの思惑が絡み合い、あらわになっていく。

  「コンピューターVS人間」と言われてきたが、アシュアはなんて私たちと同じなのだろう。「人類の幸福を守る」が「支配」となり、隠し持った己の目的のためにどんな力を振るうことも辞さない。これは各章で、現実で、権力者や大国や企業がしてきたことだ。

  人間が作り出したものは人間を超えない。矛盾や弱さも受け継がれる。アシュア的なものを恐れるなら、人智を超えた賢さではなく、われわれによく似た愚かさを恐れよ―そんなメッセージも読み取れる作品だ。

  ファンタジーでしか描けない現在へのまなざしがここにある。22歳の書き手による壮大な物語。


 (中央公論新社・1870円)


【読 書】
『新百景 石巻東松島・女川 再生の歩み』…未来へと受け継ぐ「場」
石巻かほく編集部(いしのまきかほくへんしゅうぶ)


★★★★紹介文はこちらです★★

 評・鈴木 麻弓(写真作家、日大芸術学部写真学科准教授)


  「ずいぶん変わったなぁ」ページをめぐって思わずため息がこぼれた。悪い意味ではない。あの日、東日本大震災から11年と9ヵ月。自分の記憶の中の景色とは異なり、どこもかしこも新しい街並みになり、新鮮な輝きに満ちているからだ。誕生した施設は地域のシンボルとして機能し、新設の道路やトンネルによってより早く近く便利になった様子を誌面で確認できた。

  写真というメディアの特徴は記憶性を備えていることが挙げられる。この「新百景」は新聞社が発行する写真集だけあって質が高く、アーカイブとしての役割を含んでいる。2018年9月から毎週水曜日に連載された写真を中心とした記事は200本になるそうだ。石巻市北上町の黄金に輝くヨシ原、独特な地形美の嵯峨渓など周知の場所を紹介する写真は、より美しい季節や時刻を選んで撮影されている。宮城県女川町周辺の夜景、東松島市の青いこいのぼりなど、震災後の新たな風景を紹介している写真もある。

  私自身が撮る側の人間であるし、地形も知っているので記者たちの苦労を想像する。ベストアングルを求め、時には思い望遠レンズを携え、自らの足で山を登り、静かに時を待つ。絵はがきのような風景写真を求めるのならば美しさが優先される。だが「新百景」のように未来へ残すのが目的ならば、大切な要素は「人が写っていること」だ。「場」は人とのつながりの中で発展を遂げ、未来へと受け継いでいくのが人であるからだ。

  4人の記者によるコラムが素晴らしい。選ばれた季節の一番いい光で撮影されたイメージと共に、文章にも伝えようとする真摯な気持ちや地域の人たちへの心遣いが感じられる。誰でも簡単に高画質な写真が撮れる現代、あらためて写真の必要性が問われるが、こうした温かみが感じられる写真を未来に残し、地域をつないでいく役割が新聞記者が担っているのは間違いない。

  復興の歩みやコミュニティー、住民の活動、教育機関にもフォーカスしており、これまでの変化を写真が伝えている。私のように地元(女川町)を離れてしまった者にとって、情報のアップデートに役立つ、ありがたい写真集だ。


 (三陸河北新報社・1100円)

www.kahoku.co.jp


【読 書】
プーチン戦争の論理』…排除された問いに挑む
下斗米伸夫(しもとまい・のぶお)
1948年札幌市生まれ。政治学者。法政大名誉教授。専門はロシア・独立国家共同体(CIS)政治史。


★★★★紹介文はこちらです★★

 評・西谷 修(哲学者)


  ロシアの「ウクライナ侵攻」は、軍事的失敗と劣勢を伝えられる中、「得意の冬」を抑えてやがて1年に及ぶ気配である。核戦争の危機もとりざたされ、出口が見つからない。世界の食糧危機が深刻になり、欧州ではガスや電力の価格が高騰。もはやこの冬だけの問題ではなくなっている。

  「ロシアが悪い」「プーチンは独裁者」だと非難するだけでは事は解決しない。戦争が膠着し、世界分断が深まるだけである。「なぜロシアはウクライナに侵攻したのか」を問わなければならない。ロシアを一方的に断罪し、それ以外のことは言わせない、考えさせないというのが「西側」諸国とそのメディアの論調だが、その姿勢こそが戦争をエスカレートさせ、解決を遠のけているのではないか。

  ロシア政治研究の第一人者とされる著者は、本書であえてこの排除された問いに取り組んでいる。

  今回のロシアの侵攻が事の発端ではないこと、冷戦の「西側勝利」の下でのロシアの復興とその異物視、西側からのウクライナ内政への強力な働きかけ、それによるウクライナの事実上の分裂…。調停の国際的な枠組みも試されていたのに、対ロ和平を掲げて当選したゼレンスキー政権の変節と急なドンバス地方への攻撃の結果、ロシアが侵攻に踏み切った、などなどを経緯に即し、また欧米のロシア研究者の見解を引きながら論じる。

  また、ウクライナとロシア両国の歴史的、文化的関係、とりわけロシア正教圏での教会分裂とその余波、冷戦後の両国の政治と人的関連の錯綜、版図の変遷などを示しながら、今回の出来事の深層な掘り起こして見せている。

  ロシアの侵攻が国際法上認められないとしても、今回の事態を「大国の小国への侵略」といった単純な図式に収めることができないのは、その豊富な記述から理解される。この紛争の解決を探るためにも、欠かせない知見を示した一冊だろう。


 (インターナショナル新書・946円)


【読 書】
『踊る菩薩』…観客の心映す伝説の人
小倉 孝保(おぐら・たかやす)
1964年滋賀県生まれ。毎日新聞論説委員。2012年「柔の恩人」で小学館ノンフィクション大賞


★★★★紹介文はこちらです★★

 評・新井見枝香(書店員、作家、ストリッパー)


  私が2020年にストリッパーとしてデビューしてから「広島第一劇場」が閉館し、現在ストリップ劇場は全国でわずか20館弱だ。お客の高齢化が進む中、新型コロナウイルス感染が命取りになる彼らの足はますます遠のいた。放っておけば絶滅しそうなカルチャーを、放ってはおけない警察による摘発は、それでもまだ続いている。

  ストリップ全盛時代に一世を風靡した「一条さゆり」という名を、私は知識として知っていた。引退興行で逮捕されるなんてど派手な人である。だから本書のタイトルは、裸の女神を崇拝する熱心なファンの視点かと想像した。しかし、著者は現役時代のステージを見ておらず、ストリップファンでもない。興味を抱いたのは亡くなる2年前の1995年。当時58歳になっていた元伝説のストリッパーが、大阪のドヤ街・釜ヶ崎で暮らしていると知ったことによる。

  取材を受け入れたさゆり姐さんは、生活保護を受けながらの病院通いというどん底にいた。それでも冷たい飲み物を用意し、持ち前の話術で楽しませようとする。やがて著者は彼女の虚言に気付くのだが、それは真実を隠蔽するためのむなしい嘘ではなかった。ストリッパーとして観客の期待に応え、逮捕の危険を知りつつも「特出し」したことを思わせる。旺盛なサービス精神によるもの。そのせいで彼女は懲役刑を受け、恋愛もうまくいかず、いくつも店を出してはつぶす。結果として何も手に残らなかった。

  彼女の幸せとは何だったのか。客席のお父さんたちが「ありがとうね」と笑ってくれるのなら「よっしゃ、まかしとき」と張り切るのは、ストリッパーにとって最も心意気だと、実感として思う。「特出し」を後悔したなら、晩年の彼女は取材を断ったのではないか。見る者の心を映す菩薩は誰も見なければ空っぽなまま。誰かを幸せにして初めて、「一条さゆり」は心からほほ笑むことができるのだった。


 (講談社・2200円)


 ◇


今回もどれも読みたいと思います。その書籍の紹介文はなるほど、読みたくなるのはすごいものです。これもアフィリエイトのための文章力(ライター?)の参考のために読み続けます。では、失礼しました。


(´・ω・`)
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