§::万華鏡∞日記::§

「定期記事」で①きょうの運勢②首相日録③きょうの言葉④DMMFX要人発言が主です。その他「映画」「音楽」「書籍」の紹介文や、雑記もあります。

【書籍】話題の本をピックアップ!ぜひ、ご紹介します!?/2022.12.26。。(´・ω・`)


こんにちは、ハクです。


年末というわけで、
今週の書籍紹介の企画が異なりました。


今回は、有名な方がそれぞれ好きな本をご紹介することになります。


どうぞ、ぽちっと「折りたたみメニュー」で、ご覧くださいませ。宜しくお願い致します。


 ◇



<< みなさん、3冊ずつ、紹介されます!!>>




【人文科学】
稲垣 諭さん(東洋大教授)
…混交的だった西洋の知


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ja.wikipedia.org

  世界がきな臭くなっている今、力になるのは書物である。過去、現在、未来という異なる時間から世界を見渡せるからだ。まずは過去。西側諸国の価値観と言われるが、その西側とは何なのか。古代ギリシャに遡る西洋哲学の伝統は単線的につながってはいない。12世紀以降、アラビアの研究者による翻訳運動と知的交流がこれを支えた。①は西洋がそもそも混交的であることを自然哲学の受容として明らかにする。
  そして現在。性加害などの暴力を受けた人の苦しみはいつまでも過去にならない。彼らにとって「赦し」は可能なのか。加害者と被害者の対話を中心に問題解決を図る「修復的司法」アプローチを研究しながら、同時に被害当事者でもある著者による②は、回復の物語には回復できない正義や「赦し」の問題に向き合う力を与えてくれる。
  最後は未来。「資本主義リアリズム」で有名なマーク・フィッシャー。③は彼が2017年に急逝する直前の講義の記録である。ポスト資本主義の未来を夢見るために必要な知とは何か、彼の言葉が教室内で学生たちと共振する。1960~70年代の書物を手がかりに彼は、私たちがアイデンティティーによる分断に陥り、苦しみを糧に連帯できなくなってしまった袋小路を浮き彫りにする。フィッシャーのまなざしは優しく、かつ、力強く世界の暗がりの先へと向けられている。


【自然科学】
川口 敦子さん(サイエンスライター)
…絶滅と進化を文学的に


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  ロシアのウクライナ侵攻や気候変動に伴うパキスタンの大洪水など、胸が締め付けられるような出来事が続いた今年。どう生きていくべきか、考える機会も多かったのではないか。①は、地球で生命が誕生してから多様な生き物が繰り広げてきたぜ絶滅と進化のドラマを300㌻に圧縮した。著者は英科学誌ネイチャーの生物学編集者、訳者はサイエンス作家で、生命が誕生した場面を「石鹸の泡のような細胞が、ちっちゃな握りこぶしをふりかざし、生命のない世界に立ち向かったのだ」と描写。まるで地球の過去と未来を見てきたような文学的な表現が光る。
  ②は、1935年生まれの理論物理学者が、宇宙や数学のみならず、音楽や詩、人生などについて読者に優しく語りかけた77のエッセー集だ。著者は、米航空宇宙局(NASA)が77年に打ち上げた惑星探査機ボイジャーに、バッハの音楽を載せることを提案した。少年時代の太平洋戦争の体験を織り交ぜ、声高にではないが、戦争の悲惨さも語り継ごうとする。
  ③は、魚やトカゲ、人類までさまざまな生き物を巡る面白い論文を紹介した。著者は「論文のソムリエになりたい」という比較行動学を専門とする研究者。風を受け枝にしがみつく「飛ばないトカゲ」、人気漫画の主人公にちなんだ「みんな『のだめ』だった」、カエルにのみ込まれた昆虫の「大脱出」など洒脱なタイトルで、軽妙に生き物の姿を描いた。


【純文学】
清水 良典さん(文芸評論家)
…鋭敏な感性 筆致は大胆


★★★★[ 紹介文はこちら ]★★
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  ルシア・ベルリンは、3度の結婚と離婚ののち教師や清掃作業員、監護助手として働きながら4人の子を育て、亡くなって10年余りたって愛読され始めた米国の女性作家である。2019年邦訳の「掃除婦のための手引書」で、彼女の純粋で研ぎ澄まされた感性、シャープで大胆な筆致に触れて驚いた読者は多いだろう。だが実は原書の半分ほどの選集だった。同じ訳書の①によって、原書の全ての作品が読めることになった。これから初めて読む人は幸せだ。
  ②は、きわめて寡作な作家の久しぶりの長編小説。ある劇団のメンバー全員に愛された「ヒカリ」という女性をめぐる、それぞれの述懐を集めた文集という設定だ。セックスや恋愛感情によって「愛」が独占や支配に陥ってしまう矛盾が浮かび上がり、身につまされる。そこから逃れたヒカリとは、ある高次の「愛」を求めていたのかもしれないと、思索に誘われる。
  ③は、著者がテレビアニメのSF設定と脚本を担当したことから二次的に生まれた小説である。あるゴジララドンが登場するのだが、その描き方はこれまでと全く異なる。「怪獣」とは何者なのか。「S.P」つまりシンギュラーポイント(特異点)という概念に、その謎が隠されている。一見荒唐無稽なSF的発想が、向け意見の存在論的冒険へ読者を連れ出してくれる。一方で町工場のロボットが活躍するエンタメ性もたっぷりで、著者の新境地だといえる。


【社会科学】
相澤 真一さん(上智大准教授)
コスパ度外視した労作


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  「コスパの良さ」が評価される現代において、理論、調査、歴史の三つの領域で「労作」にして優れた作品に出合えたことが今年の収穫である。
  ①は、現代ドイツ社会学の代表作の、待望の邦訳。「時間」を手がかりに、後期近代である現代社会の現在地を教えてくれる。特に、時間の次元での「社会的加速」が文化や技術などの領域で進むなかで、政治的意思決定の停滞が際立つようになり、政治的な安定的の喪失に帰結するという指摘は、2020年代の社会にこそ重い指摘である。続刊の「共鳴」の邦訳も待ち遠しい。
  ②は、「エリート」を自任する56人ものフランス人に詳しく話を聞くなかで、フランス社会において、人をエリートたらしめる言語の運用能力(言語資本)のありように迫る。特に、古くから指摘されてきた洗練ではなく、わかりやすく説明できることが言語資本として機能するようになったことと、そこに教育による階層移動の可能性を見た点は、21世紀の学校教育のありように重要な示唆を投げかける。
  ③は、著者の研究課題への愛情を詰まった一冊。「日本で最初にセーラー服を取り入れたのはどこの学校か」をこれ以上できないと思えるほどの史料収集によって論証したことは、歴史学の醍醐味を感じさせる。戦時下でも先輩たちと同じ制服を着たいという抵抗には、戦時体制の裏の顔が見えてくる。資料集としても貴重な本だ。


【エンタメ小説】
内藤麻里子さん(文芸ジャーナリスト)
…氏名受け止める姿 感動


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  小説って、こんなことまで書けるのかと感動させてくれたのが①だ。題名の「タラント」とは「使命」「賜物」「才能」などを指す。私たちは自分は何がやりたいのか、どんな仕事が向いているのかとずっと考えているように思う。主人公もまた自分にタラントはあるのかと考え続ける。彼女の大学時代からの約20年を描く一見何げないストーリーだが、物語は驚くほど周到に紛がれる。
  主人公はタラントをどう受け止めるのか。そこに至った時、思わず胸を突かれた。その姿はしがない私たち自身ではないか。心の深いところに刻まれる一作だ。
  ②は旧満州(中国東北部)の架空の都市を舞台に、日中戦争を世界史の中でとらえる視点と、人々の個人史を絡ませて時代性をみごとに浮かび上がらせた異色作。
  主人公が登場するまでの前史をまるで創世記のように語り、満州異世界を作り出す才気に引き込まれる。SF的な新感覚の歴史小説とでも言おうか。第2次世界大戦も既に歴史になった。これからの歴史小説の可能性すら感じさせる。
  ③は痛快な青春小説でありながら、「毒親」に苦しむ子どもたちの問題を潜ませている。なじまなそうな取り合わせだが、すんなり融合させている手腕は並ではない。成績優秀で資産もある高校3年生が、失踪した同級生を捜す旅に出る。ポップな語り口で問題に斬り込み、熱くてさわやかな余韻を残す。


【アート】
小田原のどかさん(彫刻家、美術評論家)
…「社会との接点」に注目


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  欧州の環境保護団体による美術館での抗議が相次いでいる。社会との接点としての美術に光を当てた3冊を紹介する。
  「第三波フェミニズムの視点で」を副題にした①は金沢21世紀美術館で3月まで開催された同名の企画展の図録。キュレーションした写真家の長島は、著書「『僕ら』の『女の子写真』からわたしたちのガーリーフォトへ」では男性中心の写真評論を鮮やかに批判した。同書を軸に「女性による女性のための」というようなフェミニズムの誤認への打破が認められた同展から学ぶことは多い。
  ②は芸術文化を「ポスト人新世」の視差から論じる意欲作。人新世とは、人類が農業や産業革命により地球規模の環境変化をもたらした時代と定義される。本書は、美術制度がいかに人間のみを主体とした文明観を礎にしてきたかをあぶりだす。現代美術家インスタレーション作品から農民美術運動までも分析対象とし、大都市中心の美術史観や既存の美術制度への反省の「先(ポスト)」を示している。
  ③は1974年に東京国立博物館に初来日したレオナルド・ダビンチの「モナリザ」に赤いスプレーを吹き付け、逮捕されたウーマンリブ活動家・米津知子を巡るルポルタージュだ。自身の身体障害、美術大在学時の学生運動、権威的な美術制度、いくつものかせを打ち壊す米津の痛切な抗議行動の背景とその生きざまは、いままさに多くの読者に知られるべきだ。


【ノンフィクション】
魚住 昭さん(ジャーナリスト)
…隠れた事実あぶり出す


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  隠された事実や構造をあぶり出すのがジャーナリズムの仕事だとしたら、①と②は取材を重ねて事実を引き出した労作だ。
  ①は敗戦直後の旧満州で、ソ連兵に「性接待」を強いられた日本の女性たちの物語だ。現地民らの略奪から守ってもらう見返りに、開拓団が差し出した娘たちの生々しい証言が、闇に埋もれた悲劇を再現する。著者は彼女らの心のひだの奥へと分け入り、開拓団に巣くう女性蔑視の支配構造も明らかにする。皆のため犠牲になったのに「けがれた女」とさげすまれる無念さに、胸をえぐられる。ただ本書は開拓団の遺族会から「承諾なく関係者の実名を表記された」と強い抗議されている。取材には信頼関係の構築が不可欠。著者は最大限努力をしたか、気になる。
  ②は発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)による水汚染を告発するルポ。沖縄の基地周辺でPFAS汚染が問題化していると耳にした著者は、他でも同じことが起きているかもしれないと取材を始める。現場や関係者を訪ね、情報開示請求を繰り返し、命に直結する地下水と飲料水の汚染をあぶり出す。
  ③は、高度成長期の若者がなぜ革命を起こそうとしたのかという疑問を糸口に、今年で30歳のフリーの記者が連合赤軍のリーダー森恒夫の足跡をたどる。実像をたぐり寄せた著者は、21世紀の暴力革命を目指す活動家らに「暴力は必要か」と問いを重ねる。その姿にかすかな希望を感じる。


【マンガ】
小田 真琴さん(女子マンが研究家)
…反差別と女たちの連帯


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  日本と同等かそれ以上に苛烈な家父長制が幅を利かせる韓国社会からすぐれたフェミニズム文学が数多く輩出されてきたのは必然だろう。日本でもベストセラーとなったチョ・ナムジュ著「82年生まれ、キム・ジヨン」などに連なる存在として、韓国のマンガ家による①が本邦でも刊行されたのはあ僥倖(ぎょうこう)であった。本質を撃ち抜く細やかな差別描写、繊細な感情をすくい上げるモノローグ。大傑作である。
  一方、②で描かれるのは世界各国の女の子たちが直面した女性差別だ。サウジアラビアに住む少女・サルマの母は、実は第2夫人だった。第1夫人のアミーラは、不妊の心苦しさから第2夫人を迎えるよう夫に乞い、そうして迎えられたのが離婚歴ゆえに再婚できずにいたサルマの母だった。2人の妻を養う彼のその行動は「善行」なのだ。この社会では女たちは、男の庇護なしには生活できないのである。
  今日、歴史ものにおいて女性を描くには高度なバランス感覚が要求される。その点、③における女性の表象非常に興味深い。13世紀のモンゴル帝国後宮を描く本作は、コミカルな絵柄とは裏腹に、高い解像度で、力強く生きる少女を描く。続刊に注目したい。
  社会に組み込まれた強固な女性差別は、巧妙に女たちをからめ捕る。それでもなお連帯する女たちの姿を、マンがは力強く描き出すのである。


 ◇


今年後もどれも読みたいと思います。その書籍の紹介文はなるほど、読みたくなるのはすごいものです。数多くなり、長くなりましたが、ジャンルによってどうぞお選びされれば、と思います。では、失礼しました。


(´・ω・`)
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