§::万華鏡∞日記::§

「定期記事」で①きょうの運勢②首相日録③きょうの言葉④DMMFX要人発言が主です。その他「映画」「音楽」「書籍」の紹介文や、雑記もあります。

【書籍】話題の本をピックアップ!ぜひ、ご紹介します!?/2023.01.09。。(´・ω・`)


こんにちは、ハクです。


毎週日曜日、河北新報2版に「書籍紹介」があります。
試しまして、私もこちらでご紹介させて頂きます。
あまりにも多いので「評」する紹介文がある本だけと致しました。


どうぞ、ぽちっと「折りたたみメニュー」で、ご覧くださいませ。宜しくお願い致します。


 ◇

【著者とひととき】
『聞く技術 聞いてもらう技術』…当たり前で神秘的な力
    東畑 開人さん


★★★★[ 紹介文はこちら ]★★

  人の話を聞く。そんなことは、誰にだってできることだと思う。しかし、臨床心理士の東畑開人さんは「その当たり前のことができなくなる時がある。聞くことは、意外と難しい」と語る。新著で向き合ったのは「聞く」「聞いてもらう」ことの神秘だ。
  人の話に注意を向けて、その真意までくみ取ろうとする「聴く」に対して、「聞く」は相手の言葉をそのまま受け止めることを意味する。「『聴く』は能動的で、『聞く』は受動的な行為。相手の話す言葉が耳に入ってこない、思わず耳をふさいでしまうことがある。そのことを、この本では主題にしました」
  話が聞けなくなるのは、心に余裕がなくなっている時だと言う。まず自分自身の安心がなければ、人の話を聞くことは出来ない。「僕が言いたいのは、人は誰かに話を聞いてもらうことで、自然と他人の話も聞けるようになるというシンプルなことなんです」
  長年の臨床経験から、「誰かに話を聞いてもらう」ことには、不思議な力があると確信するようになった。「例えばカウンセリングの現場で、最初の数回ライフヒストリーを聞くだけで、相談に来た人の調子が良くなることがある。僕が何かアドバイスをしたからというよりは、聞いてもらえる場所があるということが持つ神秘的とも言える力があるんです」
  しかし、その力は簡単に忘れられやすくもある。だからこそ、本の中では「当たり前のこと」を何でも書いた。「周りに話を聞いてくれる人が増えれば増えるほど、人の心は楽になる。だから、治療の根本は暮らしの中にあるとも言える。これもまあ、当たり前のことなんですけどね」
  「聞く」と「聞いてもらう」の循環の中で、人びとの心が少しでも楽になってほしい。新著にはそんな「治療」の意図も込められている。そのために、「小手先」と呼ぶ実践的な技術も数多く紹介した。「臨床家にとってはプラクティカルであることが一番大事。この本も、読んだ人にとって役立つものであってほしいと願っています」

(「聞く技術 聞いてもらう技術」はちくま新書・946円 )


【読 書】
『ぼくらは、まだ少し期待している』…理不尽と闘う高校生ら
木地雅映子(きじ・かえこ)
1971年石川県生まれ。作家。93年「氷の海のガレオン」が群小新人文学賞優秀作となり、翌年、単行本デビュー。


★★★★紹介文はこちらです★★

 評・向坂くじら(詩 人)


  高校最後の夏休み、女子に呼び出されるところから始まるひと夏の冒険…というとキラキラした青洲物語を想像してしまうが、本作はそれだけにはとどまらない。もっと複雑な現実の問題へと斬り込んでいく。
  輝明は札幌の高校3年生。成績は学戦トップクラス、訳あって資産まであるハイスペック男子だ。だが当人は高校生活を「灰色」と称し、物事を冷めた目で俯瞰する。ある日、同級生のあさひに呼び出され、行方不明の弟について相談される。それを冷たくあしらってしまった直後、あさひは失踪する。輝明は異母弟の航と共に、あさひを捜すため東京へ行く。
  登場する子どもたちは、みな大人に傷つけられた経験を持っている。いわばこの冒険の敵は大人による加害そのものだ。痛みにあふれた物語だが、語り口は軽妙で、すんなりと引き込まれる。
  一方、魅力的な大人も描かれる。輝明を支えるNPO法人のスタッフは、プロとして大人の悪割を引き受けながらも、子どもの意思や成長を尊重する。彼らのサポートの基底に臨床心理学の専門的な知見が置かれているのも面白い。決してファンタジーでない冒険のためには、そういう存在が必要なのだ。
  輝明は賢明だし、経済力もある。それでも解決できない事態に悪戦苦闘するさまが、問題の困難さを鮮明にする。失踪の手がかりをつかみかけたところで、スタッフの一人が「あさひさんを巡る物語に、当事者として参加する意志があるかい?」と問う場面がある。傍観するだけでなく、相手の「人生の舞台に上がる覚悟」があるか。外野から解決策を考えるだけなら誰でもできる。本作は、そこからもう一歩踏み込み、共に闘わないかと読者を誘っているようだ。
  輝明の冒険は、理不尽に打ち勝つ方法をタフに考え続けるためのヒントをくれる。そしてそれは、時に絶望的に思える未来に、どうにか「期待」し続けるためのヒントになる。

 (中央公論新社・2035円)


【読 書】
『青木きららのちょっとした冒険』…8人が暴く「最悪日本」
藤野 可織(ふじの・かおり)
1980年京都府生まれ。2006年「いやしい鳥」で文学界新人賞を受賞しデビュー。13年「爪と目」で芥川賞受賞。


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 評・清水 良典(文芸評論家)


  9編の短編から成る本書には、そろって「青木きらら」という名の女性が登場する。ただし、みんな年齢も生まれ育ちも異なる別人である。冒頭の「トーチカ」と最後の「トーチカ2」が続きになっているので、8通りの青木きららということになる。どういうことだろうか。それを推し量りながら読み進めるのが本書の楽しみ方になる。
  まず「トーチカ」に出てくるのは国民的アイドルである。巨大なドームで覆われた都市が「放送局」に支配され、どんどん拡張して周囲を飲み込んでいく。そのメディア王国で青木きららは、手の届かない絶対的なアイコンである。ある日、都市の中で偽物が発見される。やがて偽物は中年男性にも姿を変える。本物と偽物の区別だけでなく、本人の正体もつかめない。こんなふうに青木きららは特定の個人の枠をはみ出た存在として登場するのだ。
  強烈なのが「スカート・デンタータ」という短編。痴漢に遭った女性のスカートに突如として歯が生え、男の手を食い切ってしまう事件が起きる。同様の減少が相次ぐ。その元の女性を探ると青木きららという名前が浮かび上がる。しかし歯の生えたスカート現象は広まり、女たちはそろって「青木きらら」の名称を付けるようになる。
  逆に「花束」は、河川敷で痛ましい死体となって発見された青木きららの報道に接して、人びとが花束をささげに訪れるという話だ。崇拝されるかと思えば襲われ、殺されもする女性の象徴として、その名は姿かたちを替えて描かれるのである。
  本書の末尾「トーチカ2」でメディアに支配されたドームを脱出し、国外に逃れた青木きららの肉声が、ラジオでドームに届けられる。「そっちはどうですか?あいかわらず最悪ですか?」
  このように本書は「青木きらら」の名の下、女性にとって「最悪」の日本の状況を次々と暴き出す。それは反撃の狼煙(のろし)でもある。読んでいて男の私も義勇軍に加わりたくなった。

 (講談社・1760円)


【読 書】
摩多羅神…中世出雲に現れた異神
山本ひろ子(やまもと・ひろこ)
1946年千葉県生まれ。東京都育ち。和光大名誉教授。私塾「成城寺子屋講座」を主宰。著書に「中世神話」「異神」など。


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 評・斎藤 英喜(仏教大教授)


  本書の主人公である摩多羅神(またらじん)は、一般にはなじみのない神だろう。狩衣姿で中国風の幞(ぼく)頭をかぶり、にこやかな笑顔で鼓を打つ姿…。その神像図からは歌舞・芸能にかかわる神とされる。また比叡山延暦寺をはじめとした天台宗系の寺院で「秘仏」として祭られ、人びとを往生へと導く念仏の守護神ともされた。
  そう、摩多羅神とは、明治以降の近代日本が封印し、抹殺した神仏習合の神であった。著者は20世紀末に刊行した「異神」によって、忘却された摩多羅神をはじめ、新羅明神、宇賀弁才天、そして牛頭天王といった、古事記日本書紀記紀神話に登場しない、素性不明の異国の神々を、われわれの前に顕現させてくれた研究者である。本書は、24年ぶりの新著だ。
  奈良・多武峰、日光山、平泉・毛越寺など、列島各地のこの神がひそかに祭られていた現場を、著者は巡る。舞台の中心は出雲だ。出雲といえば、巨大神殿の出雲大社に象徴されるように古代神話の国、というイメージが強い。
  だが、島根県安来市清水寺という寺院で、14世紀に作られたとみられる摩多羅神坐像が発見されたことから、本書は、われわれを「中世」の出雲の世界へと誘っていくれる。
  さらに驚くべきことに、出雲大社に連なる山々の一角に建つ名刹(めいさつ)、浮浪山鰐淵寺にも「摩多羅神社」が鎮座していたのだ。それだけではない。鰐淵寺の摩多羅神は、かつては八岐大蛇退治で有名な、荒ぶる神スサノオと同体の神とされていた。ここでわれわれは、インドの霊鷲山から流れてきた島を、スサノオが出雲の地につなげとめたという、驚異的な中世出雲神話の世界に出合う。
  「神話」といえば記紀神話にさかのぼる古代という常識は、ものの見事に崩れ去る。仏教の知識で解釈、再創造された神話が、中世の列島各地に生み出されていたのだ。摩多羅神は、そうした中世神話の主人公の一人に他ならなかったのである。

 (春秋社・3850円)


【読 書】
『親愛なるレニー』…手紙が伝える名指揮者
吉原 真里(よしはら・まり)
1968年米ニューヨーク生まれ。東京大卒、米ブラウン大博士号取得。ハワイ大教授。専門は米文化史、ジェンダー研究など。


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 評・青澤 隆明(音楽評論家)


  生きることは愛である。音楽と人生を通じ、そのことを広く大きく強く伝えたのが、レナード・バーンスタインだった。
  20世紀米国のスター指揮者で、交響曲「不安の時代」などを作曲、「ウエスト・サイド・ストーリー」で大ヒットを飛ばした。第2次大戦中に25歳でデビュー。東西を分断した「鉄のカーテン」が解けた1990年に病没。輝かしい活躍は、日本の戦後復帰と経済成長の時代に重なる。
  人間は一人で生きるのではなく、音楽は一人きりでは成り立たないから、その情勢も執着も多くの人に伝搬することになる。
  日米文化交流史や文化の力学を研究する著者が、バーンスタインとその時代を読み解く。独創的なだけでなく痛切なほどに感動的なのは、2人の日本人の手紙を通じ、深い友愛と尊敬のありようを赤裸々に描き出しているからだ。
  「親愛なるレニー」を熱く心に抱き続けるのは、戦中にパリから帰国、47年にファンレターを出して交友を結んだカズコ(天野和子)。一方、79年の来日時に恋に落ちた若い男性クニ(橋本邦彦)は、公私共に巨匠を支えた。札幌での国際教育音楽祭パシフィック・ミュージック・フェスティバルや、没後の日本語台本執筆に至るまで。著者の言葉通り、「個人のミクロな物語は、歴史のマクロな構造のなかで織りなされる」のだ。
  物語として興味深いのは、友愛の行方を追うのがもっぱらバーンスタイン宛ての書簡によるところだ。返信は秘されており、著者は推理と共に関係の変容を見詰める。スキャンダルを扱うのではなく,
節度と敬意でもって真意を読み取ろうとする。その余白が言外の余情ともなっている。
  2019年にオックスフォード大学出版から問うた英文著作を、自ら翻訳、改定した日本版。本書をひときわ美しいものにしているのは、橋本自身が和訳した手紙に流れる、清らかな抒情性だろう。「愛そうとする意志」を全うしたいと願う真情が、まっすぐに迫ってくる。

 (アルテスパブリッシング・2750円)


【読 書】
『加賀百万石の侯爵 陸軍大将・前田利為1885-1942』…みやびな生きざま体現
村上紀史郎(むらかみ・きみお)
1947年東京都生まれ。フリーランスのライター。著書に「『バロン・サツマ』と呼ばれた男 薩摩次郎八とその時代」など。


★★★★紹介文はこちらです★★

 評・春名 徹(ノンフィクション作家)


  前田利為は、いかにも加賀百万石の党首にふさわしい人物である。金沢、そして東京の本郷(のち駒場)に瀟洒(しょうしゃ)な欧州式の邸宅を構え、鎌倉と軽井沢に別荘があった。
  和漢の教養を構え、軍人を志し陸軍士官学校へ進んだ。同期に東条英機がいる。さらに陸軍大学校を目指し、卒業に際しては成績優秀で恩賜の軍刀を受けた。その後、私費で欧州へ留学し、侯爵として現地貴族との社交を深めていった。
  帰国後、満州事変や二・二六事件が起こる混迷の時代に、陸軍参謀本部戦士課長、近衛第二歩兵旅団長、陸軍大学校長、満州派遣の第八師団長などを歴任し、中小に昇進するが、この前途洋々と見える人物にいは不思議なほど大きな功績がない。
  間もなく予備役に編入。上層部への直言を疎んじらたためともいうが、要するに軍人として大きな実績は残さなかった。
  陸軍上層部には強烈な上昇志向や権力争いが渦巻いていたから、彼のようにおおらかな性格では、競争に敗れて出世は望めなかったのかもしれない。実際、同期の東条とは性格が合わず、中は悪かったと伝わる。
  念願の現役復帰は、太平洋戦争勃発後の昭和17(1942)年、ボルネオ守備軍司令官となったが、航空機事故で殉職となる。死後、陸軍大将に昇進。彼の事業は全て未完のままあっけなく幕を閉じた。
  だが、この伝記では業績の欠如が独特の面白さを生んで読者を魅力する。おそらくそれは、前田利為という人がこの国では理解されにくい「みやび」を体現していることの面白みではないだろうか。
  利為は嫌になるほど富裕で、教養も十分であった。しかし彼は富をむさぼることをしない。芸術作品の購入や前田育徳会により、郷党の教育に資するなど文化にも貢献した。それは日本ではまれな「高貴であることの義務」(ノーブレス・オブリージュ)を体現してはいないだあろうか。そのように見ると、本書は独特の面白みをもって読む者に迫ってくるのである。

 (藤原書店・5280円)


 ◇


いかがでしょうか。今回も同も読みたいと思います。
その書籍の紹介文はなるほど、読みたくなるのはすごいものです。これもアフィリエイトのための文章力(ライター?)の参考のために読み続けます。では、失礼しました。


(´・ω・`)
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