§::万華鏡∞日記::§

「定期記事」で①きょうの運勢②首相日録③きょうの言葉④DMMFX要人発言が主です。その他「映画」「音楽」「書籍」の紹介文や、雑記もあります。

【書籍】話題の本をピックアップ!ぜひ、ご紹介します!?/2023.02.06。。(´・ω・`)


こんにちは、ハクです。


毎週日曜日、河北新報2版に「書籍紹介」があります。
試しまして、私もこちらでご紹介させて頂きます。
書籍数はあまりにも多いので「評」する紹介文がある本だけと致しました。


どうぞ、ぽちっと「折りたたみメニュー」で、ご覧くださいませ。宜しくお願い致します。


 ◇


【著者とひととき】
『ルポ 食が壊れる』…企業による画一化暴く
    堤 未果さん


★★★★[ 紹介文はこちら ]★★

  「今だけ、金だけ、自分だけ」というグローバル資本主義の論理が人々の身近な暮らしを脅かしていると、緻密な取材を基に訴え続けてきた国際ジャーナリストの堤未果さん。新著で挑んだテーマは「食」と「農」だ。

  「食べ物は私たちの肉体だけでなく、価値観や社会もつくる。今起きていることは、食と農の多様性に仕掛けられた戦争だと思っています」

  遺伝子組み換え技術を作った「人口肉」や「養殖魚」、ゲノム編集食品にデジタル農業…。新著では、新型コロナウイルス禍、ロシアのウクライナ侵攻に伴う食料不安や、気候変動対策として持続可能な開発目標(SDGs)が称揚される風潮を背景に、グローバル企業による「食と農の画一化と支配」が着々と進む世界の現状を暴いた。

  食糧危機や気候変動も、テクノロジーでなんとかできると彼らは言う。でも食の安全保障とは、単に食料が十分にあることではなく、世界各地の風土に合ったおいしい安全なものを食べる私たちの権利が、きちんと守られていることを意味するはずです」

  経済効率や生産量の向上、統一規格による貿易に最適化した大量生産・大量消費型のアグリビジネスと、それらを増強する科学技術が急速に発達する中で「忘れてはいけないキーワードは主権だ」と力を込める。「少数の企業が世界の農と食をシステマティックに管理することになれば、食べ物を作ったり選んだりする私たちの権利が消滅してしまうかもしれない」

  そんな危機感から後半では、化学肥料や農薬を使わない農業の実践や、土着の微生物を生かした土壌の再生、地域の農作物を学校給食に取り入れる食育活動など、「画一化」にあらがう国内外の取り組みを紹介した。

  「未来は絶対的に未知数だと信じている」と堤さん。「ディストピアのような世界に突き進んでいる事実を知ってもらった上で、それでも私たちの足元に八まだ、たくさんの宝物があると一番に伝えたかった。多くの人々が気付いていない素晴らしいことに光を当てるのも、ジャーナリズムの仕事ですから」

(「ルポ 食が壊れる」は文春新書・990円)


【読 書】
ゴッホの犬と耳とひまわり』…雑学や思弁、会話に魅力
長野まゆみ(ながの・まゆみ)
1959年東京都生まれ。作家。「少年アリス」で文芸賞を受けデビュー。「冥途あり」で泉鏡花文学賞と野間文学賞を受賞。


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 評・吉田 大助(ライター)


  アートミステリーの王道は、真贋鑑定だ。純文学とエンターテインメント小説を架橋する作風で知られる長野まゆみの最新長編も、幕開けはその王道を歩む。
  東京で母と暮らす「ぼく」は、学生時代の恩師である河島から文書を託された。19世紀のフランスで、デパートが販売促進用に
こしらえた家計簿だ。印刷された文字に用はない、余白に手書きされた文字部分を翻訳してほしいのだという。手稿の最後には署名があった。Vincent van Gogh ― ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ。これは伝説の画家の直筆文書ではないか?
  人生と作品とのリンクが、ここまで大っぴらに語られる画家もなかなかいない。生前に書いた大量の手紙は各国で翻訳され、作品鑑賞の礎となっている。手稿が本物ならば世紀の大発見となり得るのだ。「ぼく」は専門家と共に真贋鑑定のプロジェクトを進める…と思いきや、物語は序盤から不思議な軌道を描く。
  ポイントは、依頼主である河島の存在だ。彼ば孫に聞き書きされた長文の手紙や長電話、さらには対面によるトークで、「ぼく」に大量の情報を浴びせてくる。それらの情報は確かにゴッホを出発点としてはいるのだが、ほとんど連想ゲーム状態で興味の赴くまま話題が次々に変わっていく。プロジェクトの進行を横滑りされる存在は、河島以外にも無数に登場する。ゴッホという名のチャーミングな犬の存在も忘れがたい。
  真贋鑑定の根幹をなす要素は、贋作者の存在である。それは誰なのかという"フーダニット"の感触や、登場人物たちが記憶を持ち寄ることで謎を解く快感は、まぎれもなくミステリーだ。しかし、本作の神髄はやはり、登場人物たちが披露する雑学や思弁、おしゃべりにある。真贋鑑定なんてどうでも良くなるほどに(!)、それらがたまらない面白いのだ。
  この読み味は、王道からはほど遠い。長野まゆみ流のアートミステリー、堪能しました。
 (講談社・2200円)


【読 書】
『プリテンド・ファーザー』…ケアと家族、男性の葛藤
白岩 玄(しらいわ・げん)
1983年京都市生まれ。作家。2004年「野ブタ。をプロデュース」で文芸賞を受賞。他の著書に「ヒーロー!」など。


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 評・近代ナリコ(ライター)


  死別するまで妻に育児を任せきり、そのことに何の疑問も抱かず大手メーカーで仕事を邁進してきた恭平。親の反対を押し切った保育士となり、現在は海外赴任の妻と離れベビーシッターとして働く章吾。元同級生、小さな子どもを一人で育てる父親という共通点のほかに、対照的なふたりである。
  物語は、彼らの同居を通じ、ケアと家族の問題を浮き彫りにする。それぞれの視点からの独白が交互に繰り返され、ふたりの意識の違い、葛藤、気づき、心境の変化を細やかに描き出す。
  人事部に所属する恭平に寄せられる、男性社員の育児休暇取得の問題。後輩の女性社員が吐き出す上司への不満。章吾は、実家を定期的に訪れ、父親の介護に疲れた母親の代わりに家事をこなし、愚痴の聞き相手になる。ここ数年繰り返し議論されている、男性社会がもたらす弊害が、物語のいたるところにちりばめられている。
  本作はまた、どこまでがケアか、家族とはなにか、という難問もさらりと提示する。価値観の異なる男性が同居、かつ雇用関係にあるという設定が、それを可能にしているのかもしれない。
  父親としてさまざま気づきを得てゆく恭平の姿は読みどころのひとつだが、男性社会で培われた考え方はそう簡単には変わらない。いわば、住み込みのシッターである章吾の、行き届いた仕事ぶりを見て、恭平が感心する場面がある。「さすが金を払っているだけのことはあるな」
  章吾は章吾で、シッターとして引くべき線を心得て仕事をし、同居しているが、ある出来事を機に心境の変化が起こる。それがもたらす2組の親子の成り行きをどう捉えるかは、読み手によるだろう。
  ハプニングも多く、エピソードも盛りだくさんな割に、全体的に穏やかな印象なのは、彼らの暮らすマンションの居心地の良さゆえか。いずれにせよ、正社員である恭平の経済力は、物語の大きな基盤にはちがいない。
 (集英社・1870円)


【読 書】
『二刀流の棋士 一力遼』…記者と両立、稀有な存在
田中 章(たなか・あきら)
1947年北海道士別市生まれ。共同通信社後、仙台支社長などを経て2008年、脚韻論説委員河北新報社囲碁記者。


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 評・鈴木 宏彦(囲碁・将棋ライター)


  トップ棋士として活躍を続ける一力遼棋聖(25)=仙台市出身=のこれまでをたどった伝記「二刀流の棋士 一力遼」(田中章著)が日本棋院から刊行された。
  囲碁や将棋は高度な伝統文化の側面を持つと同時に、5、6歳の子どもでも遊ぶことのできる身近なゲームでもある。たいていの場合はルールを覚え、適当に遊び、それでおしまいということになるのだが、まれにゲームの深さや面白さにはまりこみ、短時間に周りの大人を負かすような子どもが現れる。いわゆる天才少年(少女)の出現である。天才少年は「もっと強い人とやりたい」という意欲を持つことが多い。そうして、囲碁なら日本棋院関西棋院、将棋なら日本将棋連盟という組織の門をくぐって、プロ棋士を目指す競争を始めることになるのだが、その競争が厳しい。99%はなんらかの挫折を味わう。しかし、ごくごくまれに若くしてプロの頂点に立つような棋士が現れる。将棋の藤井聡太竜王の活躍は有名dが、一力もまた若くして囲碁界の頂点に立った棋士だ。
  一力は天才棋士である。それは確かだが、彼の特徴はそれだけではない。彼は河北新報社の社主の家に生まれ、はじめから社業を受け継ぐ運命を負わされている。だから、棋士として活動を続けながら大学に進学し、卒業後は河北新報社に入社、新聞記者の肩書を持つことになった。
  日本のトップに立つ囲碁棋士であると同時に、社業でもある新聞記者を兼務する。そこが二刀流棋士と呼ばれるゆえんだが、それがどれほど稀有なことか。本書は一力のことをj子ども時代から知る著者が、その稀有な二刀流をメインテーマにして、彼がトップ棋士になるまでの過程を克明に描いていく。
  さいのうを持った子どもがどのようにして囲碁の頂点にたどり着き、二刀流を身に付けたのか。一力の高度なテクニックや大勝負の勝負どころを解説したい後の図面も多く、基本的には囲碁ファン向けの書だが、同時に、子どもの可能性を伸ばす教育や指導法を考える意味でも興味を引く。
 (日本棋院・1650円)


【読 書】
『香港少年燃ゆ』…1人の視点で語るデモ
西谷 格(にしたに・ただす)
1981年神奈川県生まれ。ライター。2009年から15年まで中国を拠点に活動。著書に「ルポ 中国『潜入バイト』日記」など。


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 評・石井 大智(ライター)


  私たちは世界をよく単純化したがる。香港の話だと「米中関係」や「習近平」といった大きな主語で語るのは単純で分かりやすい。しかし、2019年の大規模民主化デモで出会った15歳の少年との交流を描く本書は、逆にミクロかつ複雑な話で、読むと香港デモがより「分からなく」なる。
  香港デモの西側諸国での一般的イメージとは「強権的な中国政府と民主主義のために戦うリベラルな香港人の戦い」だろう。一方、過激な「勇武派」としてデモで積極的に破壊・暴力行為をしていた少年は、ただの素行の悪いニートでしかなく、民主主義や人権をどこまで理解しているのか怪しい。さらに複雑なことに、彼は強い香港人アイデンティティーを持ちながらも同様の人々が敵視する中国本土生まれの新移民だ。これだけ聞くと「とうしてこうなった」となるが、著者は少年をひたすら追いかけ、彼が何を考えているのか明らかにしようとする。
  本書でデモ全体は語れないが、単純化された語りがいかに虚構で、デモに関わる人々がどれだけ多様なのかを想像できる。著者が1人の少年に焦点を絞ったのは、そんな肌障りのある感覚を求めたからだろう。
  私も「『小さな主語』で語る香港デモ」(現代人文社)で同じ試みをしたが、本書は著者の、どうにか少年に近づき日本でウケる文章を書きたい下心と、こんな少年追いかけて何の意味があるのかという葛藤を隠していない点で、さらに優れている。消え去りがちな語り手の心情がとても丁寧に描かれているのだ。
  20年の香港国家安全維持法(国安法)の施行など、言論規制が進む香港で、個人の語りはこれまで以上に重要な意味を持つ。テレビに映る人物が本心で話しているのか分からないし、民主派は身を守るため世論調査でもうそをつくという研究もあり、もはや大きな主語で語られる言説がどれぐらい本当に疑わしいからだ。本書はそんな時代の香港を日本語で理解できる貴重な一冊だ。
 (小学館・1980円)


【読 書】
『「男はつらいよ」、もう一つのルーツ』…人情喜劇へラブレター
吉村英夫(よしむら・ひでお)
1940年生まれ。映画評論家・著述業。著者に「誰も書かなかったオードリー」「山田洋次と寅さんの世界」など。


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 評・荻尾 瞳(評論家)


  第1作誕生から半世紀余り。特別編や50周年記念作を加えれば、映画「男はつらいよ」シリーズは50本を数える。この人気シリーズに関する著作も既にある著者が、新たにポピュリズムという観点から「男はつらいよ」を洗い直してみせる。
  冒頭で登場するのは、なぜかハリウッドの監督フランク・キャプラ。といえばクリスマス映画の定番「素晴らしき哉、人生!」を思い出してしまうけれど、著者が挙げるのは「オペラハット」と「スミス都へ行く」。キャプラが描いた「人民喜劇」、つまりポピュリズム・コメディーに同調する形で、「男はつらいよ」の山田洋次監督登場となる。
  ポピュリズムは通常「大衆迎合主義」といった意味で使われることがほとんど。だが、著者がいう「ポピュリズム」は、市井の人々に寄り添う姿勢、あるいはまなざしである。ここから著述は、山田監督の、そして日本映画史に残る監督たちのポピュリズム考へと敷衍されていく。
  映画黄金期を支えた家城巳代治浦山桐郎木下恵介小津安二郎など、作品のカラーも方向性も異なる監督とその作品が、ポピュリズムの視点から語られているのが新鮮だ。海外での評価が高まる一方の小津監督「東京物語」に関しては、作品論と共に、いやそれ以上に小津の競輪好きを丁寧に論証していて、妙におかしい。
  映画史を繙く一方で、「男はつらいよ」のベースとされる「マルセイユ3部作」についても熱を込めてつづっている。フランスの戯曲家で映像作家マルセル・パニョルの「マリウス」「ファニー」「セザール」は、南仏の港町を舞台にした1930年代の人情ドラマ。マルセイユは寅さんシリーズにおける葛飾柴又となるわけだ。
  そういえば、山田洋次は後に音楽劇「マリウス」の脚本・演出も手掛けた。これにも著者は抜かりなく触れている。要するに、本書もまた「男はつらいよ」への形を変えたラブレターである、といえそうだ。
 (大月書店・2860円)


 ◇


いかがでしょうか。今回も読みたいと思います。
その書籍の紹介文はなるほど、読みたくなるのはすごいものです。
これもアフィリエイトのための文章力(ライター?)の参考のために読み続けます。
では、失礼しました。


(´・ω・`)
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