こんにちは、ハクです。
毎週「河北新報夕刊」から
様々な良い映画を毎週で紹介されています、と
私は毎月まとめて、こちらに載させて頂こうと思いました。
"紹介文"も、いい参考文です。あ~読みたい。
( ´,_ゝ`)プッ
それでは、映画の紹介について、
文は「河北新報」文を引用いたします。ご了承ください。
では、ご覧くださいませ。死角に、ご注意を。
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①『恍惚の人』…介護の実態 共感を呼ぶ
※公開動画がこざいませんでした。参考にこちらへどうぞ。
www.sagasix.jp
豊田四郎監督「恍惚の人」は、1973年の公開当時、森繁久弥のリアルな老いの演技が話題になった話題になった作品だ。
原作は、前年に出版されベストセラーになった有吉佐和子の長編小説。認知症という言葉がまだなく、「ぼけ」「痴呆症」と呼ばれていた時代に、その実態を「恍惚の人」と名付け、介護に追われる家族の姿とともに描き大きな共感を呼んだ。
公開から50年。20代だった団塊世代が70代になり、高齢者問題がさらに深刻化している今、再び脚光を浴びていい映画だ。
東京都内の弁護士事務所で働く立花昭子(高峰秀子)は、サラリーマンの夫、信利(田村高広)、高校生の敏(市川泉)と一軒家で暮らし、離れに信利の父、茂造(森繁)夫婦が住んでいる。
80歳を超す茂造は、長年連れ添った妻の死がきっかけで様子がおかしくなる。自分の息子が分からず、食べ物に異常な執着を示す。症状は急速に進み、日常生活がまともにできなくなるにつれ、茂造は面倒を見てくれる嫁の昭子だけを認知し、頼りにするようになる。
「おじいちゃんは、もう人間じゃなくて動物だ」と、孫の敏は突き放すが、茂造が徘徊すると必死で追いかけるなど優しいところがある。むしろ、頼りにならないのは信利で、仕事が忙しいのを口実に、実の親の介護に参加しようとしない。やがて、排せつの問題が起き、仕事を抱えながら、夜も眠れず介護を続ける昭子は、精神的にも肉体的にも追い詰められる。
老司クラブなど当時の福祉の実態も描写され、公開の年に60歳になった森繁が、20歳以上年上の茂造になりきり、全身で老いを表現している。無残な老醜の中にも、子どものような無邪気さとユーモアを感じさせるのは、さすがだ。高峰も、何十回も出てくる「おじいちゃん」というせりふを、そのたびに抑揚や声色を変え、さまざまな感情を表現している。
雨の中、昭子と一緒に歩いていた茂造が、泰山木の花に見入り、昭子がそっと傘を差しかけるシーンは胸に染みる。身につまされるが、決してつらい映画ではない。名作「夫婦善哉」の豊田、森繁コンビらしい笑いと優しさがある。
1973年。監督=豊田四郎。
出演=森繁久弥、
高峰秀子、
田村高広、
乙羽信子ほか。
キネマ旬報ベスト・テン5位。DVDが東宝から販売中。102分。モノクロ。
②『静かな生活』…大江文学 伊丹風味付け
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1997年に64歳で亡くなった伊丹十三は、本格的に映画監督デビューした「お葬式」以降、計10本の作品を残した。
8作品の「静かな生活」は、高校時代からの親友で義弟でもあるノーベル賞作家、大江健三郎の同名の小説が原作。脳に障害がある青年イーヨーとその家族の日常を描いた映画には、他の作品とは異質な若々しさとユーモアすな温かさがある。
物語の中心になるのは、実際の大江健三郎、息子で作曲家の光らを思わせる5人家族。精神的なピンチにある作家のパパ(山崎努)が外国の大学からの正体を受諾。ママ(柴田美保子)も同行することになる。留守宅に残されたのは、障害はあるが、音楽に優れた才能を持つ長男イーヨー(渡部篤郎)、絵本作家を目指す長女マーちゃん(佐伯日菜子)、予備校生の次男オーちゃん(大森嘉之)の3人だ。
映画は、近所で起きた痴漢事件、イーヨーの音楽教師である団藤さん(岡村喬生)とその妻(宮本信子)が絡む出来事、親族の葬儀のためにマーちゃんとイーヨーが父の故郷に向かう旅などが矢継ぎ早に描かれていく。
やがて、イーヨーは水泳教室に通い始め、新井君(今井雅之)という青年がコーチをしてくれる。これが、とんでもない事件の始まりだった…。
中盤までのほのぼのとした雰囲気が、新井君の登場以降、不穏な気配が漂う。パパが書いた小説の中のショッキングな犯罪シーンが、いきなり挿入されるのに、戸惑う人もいるかもしれない。だが、こうした虚実を自在に駆け巡るのが大江文学の持ち味で、それを尊重しながら、随所に伊丹風味付けをしたのが、この作品の特徴だと思う。痴漢の犯人を竹刀で打ちのめす場面など、伊丹映画ならではの笑いがある。
今井が邪悪さを秘めた青年を好演。渡部、佐伯の新鮮さ、現実の大江をほうふつさせる山崎の演技も印象的だった。
大江光作曲の音楽が全編を流れる。伊丹自身の言葉を借りれば「束の間、愛すべきイーヨーとともに暮らす体験をし、人間というのはお互い支えあって生きてゆくものなんだという思い」(注)を、観客に味わわせてくれる作品だ。
(注)大江健三郎著「静かな生活」(講談社文芸文庫)所収の伊丹十三の解説から
1995年。監督=伊丹十三。
出演=渡部篤郎、
佐伯日菜子、
山崎努、
今井雅之ほか。
ブルーレイが東宝から販売中。121分。カラー。
③『神々の深き欲望』…「日本社会の根」えぐる
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血縁や信仰で結ばれた古い村落共同体に開発の波が押し寄せた時、何が起きるのか。それを描くことで「日本社会の根」をえぐり出せるのではないか―。今村昌平監督「神々の深き欲望」は、そうした問題意識に貫かれた壮大なスケールの力作だ。4Kデジタル復元版のブルーレイが昨年暮れに発売されたのを機に、半世紀ぶりに再見。魂を奪われるような時間を久々に味わった。
舞台は架空の南海の孤島、クラゲ島。20年ほど前、猛烈な台風に襲われ、嵐の後には、津波で運ばれた赤い巨岩が、神に供える米を作る田にそそり立っていた。島人たちは、この災いは神事をつかさどる太一族が原因とうわさする。兵隊帰りの当主、根吉(三国連太郎)が妻の死後、自分の妹ウマ(松井康子)とみだらな関係になったことが、神の怒りに触れたのだ、と。
島の実力者、竜立元(加藤嘉)は、根吉に岩を落とすための穴を掘ることを命じ、ウマを自分の愛人にする。以来、根吉は鎖につながれて穴掘りを続け、一緒に暮らす父の山盛(嵐寛寿郎)、息子の亀太郎(河原崎長一郎)、知的障害がある娘、トリ子(沖山秀子)の家族3人も、さまざまな差別にされされていた。
物語は、島にある製糖工場の水源調査のため、東京本社から測量技師、刈谷(北村和夫)が派遣されてきたことから、大きく動き始める。
焼きつくような太陽の下、濃密な家族関係の中で、さまざまな悲喜劇が起きる。背景にあるのは、工場を拡大し、さらに飛行場を建設して、島を観光地として発展させようとするもくろみだ。
映画は、高度成長期の経済優先の流れの中で、土俗的な信仰の象徴である太一族が押しつぶされていく姿を残酷に、美しく描く。惨劇の後、島人たちは、太一族がたどった運命を、伝説のように語り継いでいく。
沖縄県の石垣島などで撮影。高さ約10㍍の巨岩は、発泡スチロールや木材を東京から運び、岩を埋める穴と共に、1カ月以上かけて現場に作った。三国をはじめ俳優たちも、膨大なエネルギーと時間を注ぎ込んだ作品にふさわしい、非日常的で生々しい演技を見せている。
0000年。監督=今村昌平。
出演=三国連太郎、
嵐寛寿郎、
河原崎長一郎、
北村和夫ほか。
キネマ旬報ベスト・テン1位。4Kデジタル復元版のブルーレイが日活から販売中。175分。カラー。
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いかがでしょうか。
※多数に観られるのでしたら、こちらをお薦めします。
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