§::万華鏡∞日記::§

「定期記事」で①きょうの運勢②首相日録③きょうの言葉④DMMFX要人発言が主です。その他「映画」「音楽」「書籍」の紹介文や、雑記もあります。

【書籍】話題の本をピックアップ!ぜひ、ご紹介します!?/2023.05.29。。(´・ω・`)


こんにちは、ハクです。


毎週日曜日、河北新報2版に「書籍紹介」があります。
試しまして、こちらよりご紹介させて戴きます。
書籍数はあまりにも多いので「評」する紹介文がある本だけと致しました。


どうぞ、ぽちっと「折りたたみメニュー」で、ご覧くださいませ。

例)折りたたみメニューはこちらです
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★★★★[ 紹介文はこちら ]★★
大当たり!( ´,_ゝ`)プッ

宜しくお願い致します。


 ◇


【著者とひととき】
『おつかれ、今日の私。』…読み手に一対一で伴走
ジェーン・スーさん


★★★★[ 紹介文はこちら ]★★


  うつむきこわばった背中にそっと手を当て、心からのお疲れさまを―。作詞家、ラジオパーソナリティーでもあるジェーン・スーさんの新著から、そんなメッセージが伝わる。「優しさを持って置こう。こてんぱんに傷ついた友人に話しかけるつもりで」。励ましとねぎらいのエッセー48編だ。


  ラジオのリスナーから寄せられる相談への絶妙な回答、自虐な開き直りに愛情、ユーモアがにじむ文章で好評を得てきた。「今回は書き方を圧倒的に変えました。エッセーは時代への感度を如実に表す。書き手としてしっかり読み取りたかった」


  感じたのは「時代の強度が弱くなった」ということ。景気の停滞、新型コロナウイルス禍、女性を取り巻く環境。人の心が狭くなり、命の扱われ方に格差がある時代に「心が弱っていく」人々の様子を、ラジオの仕事で「定点観測」してきた。


  新著は、読む人に一対一で伴走し、心を静める時間をつくるような拒否感がつづられる。「最近、なんにも報われない」「自分への期待を裏切る自分」「思い出し怒りに満足する夜もある」といった、誰しも多い当たる日常の場面を書き留めた。


  その中で友人や自分自身に向き合い、贈る言葉は誠実だ。自己肯定を「自分への生ぬるい見限り」にしない。「気持ちを矮小わいしょう化」せず「受けた傷にジタバタできる」強さ。「おつかれさま」と「たたえたいのは行動や結果ではなく、相手の存在や状態そのもの」…。


  30代半ばまでの会社員生活や10年を超えたラジオでの経験が、多様な事情を抱える人に寄り添う視点に生きている。「私も清廉潔白でない自分の不都合な面を認めることができるようになり、すごくネガティブになることがなくなった。自分に油を差してあげるのは自分。心身のメンテナンスを大切にしてほしい」


  コラムニストとして「無駄をそぎ落とした文章」を求め、言葉を探し当てる難しさも感じる。ただ「悲観はしていません。私らしさは更新していくものだと感じたから。自分を飽きさせないために自分に何をやらせるか、それが楽しみなんです」


(「おつかれ、今日の私。」はマガジンハウス・1540円)



【読 書】
『上海灯蛾』…欲望渦巻く人、街、国家
上田早夕里(うえだ・さゆり)
1964年神戸市生まれ、作家。「華竜の宮」で日本SF大賞、著書に「深紅の碑文」「破滅の王」「リラと戦禍の風」など。


★★★★[紹介文はこちら]★★

 評・近代ナリコ(ライター)


  国際都市としての栄華を極める黄金期の上海の活気に胸を高鳴らせ、同時に、日中戦争勃発目前の1934年という時代設定に肝を冷やしつつ、一気にページをめくった。そんな物語を駆け抜ける主人公・次郎のキャラクターがいい。


  日本から上海に渡り商店を営む次郎は、手元に持ち込まれた阿片アヘンをきっかけいに、上海の裏社会を牛耳る結社・青幇チンパンに関わり、阿片ビジネスに手を染めていく。大金が欲しい。そのためなら過酷な状況にも屈しない―。


  抜け目がないが、悪人になり切れない実直さもある。貪欲かと思えば「おれたちはみんな、日中の闘争に巻き込まれて消えていくだけの存在」とつぶやくニヒルな一面も見せる。


  多様な人種や社会が交錯する上海の複雑さを次郎を愛した。それこそが、自分の夢をあざ笑う父や兄を嫌い、貧しい郷里を飛び出した彼の望む世界だった。国籍を偽り、青幇という特殊な世界に潜り込み、己の才覚だけを頼りに上を目指す。


  日中両国の緊急状態の中、次郎がそのように生きられたのは、彼が民族の違いにこだわらず、自らの欲望にのみ忠実な個人主義者だからだ。だが、彼の日本人としての矜持きょうじが垣間見られる場面もある。阿片を重要な資金源とする関東軍と思惑に反し、次郎は自らの信じる日本人としての筋を通じた。


  それは、ロシア人を母に持ち、幼少時から差別に苦しんだ学生・伊沢とは対照的だ。彼は日本人としてのアイデンティティーを渇望するあまり、関東軍の忠実なしもべとなってゆく。両者のナショナリズムと夢が、帝国主義という巨大な欲望の渦巻くアジアの片隅で応対するクライマックスへ向け、物語は進む。


  登場人物たちも血眼にさせる阿片はそもそも、欧米の帝国主義がアジアにもたらしたものだ。大きな力によって幾重にも蹂躙じゅうりんされた魔都上海を背景に、懸命に生きる人々の姿が印象的だ。


 (双葉社・2200円)



【読 書】
『うたいおどる言葉、黄金のベンガルで』…思い出と今 旅がつなぐ
佐々木美佳(ささき・みか)
福井県生まれ、映画監督、文筆家。2020年に初監督作品「タゴール・ソングス」が全国公開。


★★★★[紹介文はこちら]★★

 評・軽刈田凡平(インド音楽ライター)


  インド東部とバングラデシュにまたがるベンガル地方は、豊かな詩や文学の伝統を持つ。この地に魅せられた著者は、ベンガルの詩聖タゴールが作った歌とともに生きる人々を題材にしたドキュメンタリー映画タゴール・ソングス」を制作し、同名の著書も執筆している。ベンガルタゴール馴染なじみがなくても、この本は「読む旅」である、と言えば興味が湧くだろうか。


  若い映像作家の感性を通して触れるベンガルは、この土地の料理と同様に、甘く濃密で刺激的だ。食べきれないほどのご馳走ちそうを振る舞われる歓待や、コロナ禍にたった1人で参加した映画祭のエピソードはそれだけでも十分に面白いのだが、そこにベンガル語ラップのリリック(歌詞)や、現地のフェミニストたちの小史、さらにはバングラデシュ独立闘争といった近代ベンガルを象徴するトピックが深みを加える。


  その縦糸と横糸に、幼少期の福井での記憶、苦い恋、はたまた宮沢賢治や沖縄旅行の話といった、著者のごく個人的な思い出が混じるのだが、実はこうした部分こそが、本書を「読む旅」だと呼びたい理由である。


  旅をしていると、感覚が開いて、別々に理解していた事象に思いもよらない共通点を発見したり、それまで気づかなかった意味を感じたりすることがある。ベンガルの人や文化を触媒にして著者の脳内のシナプスがつながる音を聴きながら、ああそうだ、旅をするとはこういう感覚を覚えることだったと思い出す。


  現在はコルカタの映画学校に通う著者にとって、旅することに生きることはほとんど動議なのかもしれないが、本当は誰にとってもそうなのだ。この感覚をすっかり覚えていたのは、コロナでしばらく旅に出られなかったせだろうか、それとも、感性がっ鈍麻していたのか。


  旅の醍醐味だいごみは乗り物に乗ることだと語る著者の文章は、一等客車の乗り心地。旅することと読むことと生きることの相似性に気付かされる。


 (左右社・1980円)



【読 書】
カティンの森のヤニナ』…独ソに翻弄された姉妹
小林 文乃(こばやし・あやの)
1980年神奈川県生まれ、ノンフィクション作家、出版プロデューサー。著書に「グッバイ、レニングラード」。


★★★★[紹介文はこちら]★★

 評・山田 朋子(明治大学非常勤講師)


  第2次大戦中、ポーランド軍将校ら2万数千人が虐待され、現在のロシア西部などに埋められた「カティンの森」事件。独ソ戦のさなか、旧ソ連とドイツは互いの関与を主張した。


  ソ連が正式に「罪」を認め、事件の真相が究明されるのは約半世紀が過ぎたペレストロイカ(改革)以降のことだ。冷戦期には第一級のタブーだったこの事件の再調査が進み、犠牲者の中に女性がいたことが知られるようになった。空軍パイロット、ヤニナ・レヴァンドフスカである。


  本書は、ヤニナの存在に衝撃を受けた著者が彼女の生い立ちや足跡を追ったノンフィクションである。著者は現地コーディネーターの助けを借りながら、ヤニナの育った小さな村や学校なども訪れ、関係者から精力的に話を聞く。


  さらにはロシアにまで足を延ばし、彼女が虐殺直前まで捕虜として暮らした修道院や、現在は記念国立公園となった「カティンの森」現地を訪れる。いずれも、著者のような情熱がなければ、外国人が気軽に行き着ける場所ではない。


  ヤニナの父ユゼフ・デヴブル=ムシニツキ将軍は、100年以上他国に分割占領された祖国を独立に導いた英雄の一人。裕福な家庭に育ったヤニナは、当時珍しい女性パイロットとなったが、独ソのポーランド侵攻と同時に運命は暗転する。新婚生活を味わう暇もなく空軍に徴兵され、翌年に殺されたのである。


  著者はまた、ヤニナの妹アグネシュカの生涯を追う。彼女は大戦中、占領下の首都ワルシャワレジスタンス(対ナチス抵抗運動)に加わり逮捕。20歳の若さでドイツ軍に処刑された。


  姉妹の悲劇的な死は、独ソ占領下で幾多の犠牲者を出したポーランドの運命の象徴とも言える。


  一方、ヤニナの夫は英国に渡り、ドイツ軍と戦ったという。読者は多岐にわたる内容を追ううちに、大国に翻弄ほんろうsれる人々の姿を知る。戦火の続くウクライナを理解する一助となる書である。


 (河出書房新社・2552円)



【読 書】
『アンビシャス』…夢の実現 三人称で描く
鈴木 忠平(あゆかわ・ぱて)
1977年千葉県生まれ。ノンフィクション作家。著書に「嫌われた監督」(大宅壮一ノンフィクション賞)、「虚空の人」など。


★★★★[紹介文はこちら]★★

 評・武田 徹(専修大教授)


  読み始めて日本のニュージャーナリズム史に残る作品になると思った。


  ニュージャーナリズムとは1960年代の米国を席巻したノンフィクションのジャンルだ。代表的な書き手だったトム・ウルフはその特徴を、近代小説によくある登場人物がみな三人称で登場する文体にあると指摘した。


  こうした文体を採用することで自分の目の前で出来事が展開するドラマのように読める本格的な作品は、日本では沢木耕太郎「テロルの決算」など少数にとどまってきた。著者の場合も、いくつもの賞を獲得した「嫌われた監督」で三人称の文体を主に採用しつつも、著者自身が「私」として登場する章を交えて、ニュージャーナリズムとしての徹底よりもメリハリを出す方を選んでいた。


  ところが本書では全登場人物が三人称で登場し、ついにニュージャーナリズムの作品として勝負に出た印象だ。プロ野球日本ハムが、札幌市の札幌ドームから、隣町の北広島市に本拠地を移転、後に「エスコンフィールド北海度」と呼ばれる新ホームスタジアムを建設する。その構想が立ち上げられ、完成に至るまでの過程を、糾弾事業統括本部のスタッフが挫折を乗り越えて夢を実現させてゆく物語として描く。


  そこではスタジアムを受け入れた自治体の職員や、秘密裏に進められていた計画を察知するスポーツ紙の番記者なども生き生きとした存在感で登場し、主役だけを際立たせない。こうした群像ノンフィクションとでも呼ぶべきスタイルは沢木になかった斬新なものだ。


  ニュージャーナリズムでは著者の気配をいかに消すかが重要なので、ほとんどの読者は気づかずに読むのだろうが、複数の人物をここまで描き込むための取材は質・量ともに相当の物だったはずだ。一度目は三人称の小説風文体が醸し出す臨場感を堪能し、その後、どのような取材が描写の背景にあったのか想像しながら読み返す。本書の場合、そんな読書法も一興だろう。


 (文芸春秋・1980円)



【読 書】
ちんどん屋の響き』…反個人主義の美学貫く
阿部万里江(あべ・まりえ)
1979年生まれ。米ボストン大音楽学科教授。幼少期は川崎市で過ごしたほか、国際日本文化センター客員研究員などを歴任。


★★★★[紹介文はこちら]★★

 評・五野井郁夫(高千穂大教授)


  ちんどん屋はなぜ今でも続いているのだろうか。ちんどん屋の存在を久しぶりに意識したのは、東日本大震災直後に都内で行われた脱原発運動でのことだった。本書にも出てくるちんどん屋のバンド「ジンタらムータ」の大熊ワタルとこぐれみわぞうが脱原発デモの路上で演奏していたのだ。


  本書は初のちんどん屋研究書であり、ちんどん屋が持つ音楽的・空間的な特性や、そこから生まれる社会的つながり、とくに、ちんどん屋が出現する文化的・歴史的背景や、音楽が人々をつなぎ合わせる力に着目し、ちんどん屋を通じたコミュニティー形成の可能性についても論じている。


  ちんどん屋の雇い主は多くの場合、新規開店をした店主である。雇い主は自分の店舗のみならず「地元を賑やかす」ことができるという。新たな顧客獲得のみならず、近所の商店主らへのあいさつ代わりともなり、地元の商業全体が刺激されることで商店街すべてが恩恵を得られる。文字通り公共財としての機能をちんどん屋が果たしている。


  ちんどん屋は、演奏における卓越よりもむしろ周囲とのコミュニケーションや社交的なつながりを重視しており、かれらにとっての成功とは人々との交流が生まれることだという。競合する他の路上での「騒音」との間に序列を作らず、実演のほとんどがその場の客と空間に応じて即興で決められるのもそのためだ。ちんどん屋の音楽には、いわゆる近代の個人主義的な自己表現ではなく、徹底した反個人主義的な美学が貫かれている。


  その音楽的な特性から、ちんどん屋はデモなどの社会運動においても、その場の盛り上げや人々の気持ちを高める役割を果たしてきた。さらにその音楽は、社会的弱者の声を代弁することもあるという。ちんどん屋という音楽文化を通じて音楽と社会の関係を探求した本書は、社会運動や公共空間の形成において音の力が果たす役割について改めて考えるきっかけとなるだろう。


 (輪島裕介訳、世界思想社・3850円)



 ◇


※「読み楽しむ」のでしたら、こうすると安く、お薦めです!
 どうぞ、詳細をご覧ください。


いかがでしょうか。今回も読みたいと思います。
その書籍の紹介文はなるほど、読みたくなるのはすごいものです。
これもアフィリエイトのための文章力(ライター?)の参考のために読み続けます。
では、失礼しました。


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