こんにちは、ハクです。
毎週「河北新報夕刊」から
様々な良い映画を毎週で紹介されています、と
私は毎月まとめて、こちらに載させて頂こうと思いました。
"紹介文"も、いい参考文です。あ~読みたい。
( ´,_ゝ`)プッ
それでは、映画の紹介について、
文は「河北新報」文を引用いたします。ご了承ください。
では、ご覧くださいませ。死角に、ご注意を。
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①『聖の青春』…将棋に命燃やした天才
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森義隆監督「聖の青春」は、羽生善治の全タイトル制覇が大きく話題となった1990年代の将棋界で、羽生の好敵手として話題しながら、29歳の若さで死去した天才棋士、村山聖の物語だ。
原作は大崎善生の同名のノンフィクション。幼い頃から重い腎臓病を抱えた村山が、将棋と出会い、名人になるという夢に向かって突き進む。病と闘い続けた村山の生涯を、彼を支えた両親と師匠の愛情、棋士仲間との交流とともに描いた作品は、将棋ファンに限らず多くの人の心をつかむ。
1994年春、桜が満開の大阪。自室を出た所で倒れ込んでしまった村山(松山ケンイチ)は、助けを借りて関西将棋会館にたどり着く。髪はボサボサで、爪は長く伸ばしているのは「生きているものを切るのはかわいそう」と思うからだ。
村山は69年、広島県生まれ。5歳で発症したネフローゼ症候群で入退院を繰り返し、病室のベッドで始めた将棋に驚くべき才能を発揮していく。中学生の時、当時五段で大阪在住の森信雄(リリー・フランキー)に弟子入り、濃密な師弟関係の中で棋士生活を送っていたが、95年に関東へ移籍する。
東京では一緒に酒を飲む棋士仲間(安田顕、柄本時生)ができ、若者らしい時を過ごす。順位戦も昇級し名人位が射程に入ってくるが、試練が訪れる。進行性のぼうこうがんが見つかったのだ。
1歳年下の羽生(東出昌大)とは生涯の対戦成績が6勝8負だった。村山に似せるため体重を20㌔増やした松山と、外見から細かいしぐさまで「羽生そのもの」と関係者を驚かせたという東出の競演は見応えがある。
「僕にはね、二つ夢があるんです。一つはね、名人になって将棋をやめて、そんびり暮らすこと。もう一つは、すてきな恋愛をして結婚することです」。原作の中で、村山が親しい棋士に対して話す言葉を、映画では羽生に向かって語らせたのは、効果的だった。
村山が死去したのは98年8月8日。冒頭の桜のシーンから、わずか4年数カ月後だった。師匠の森が村山に共感を込めてしばしば口にする「さえんなあ」という言葉をつぶやきたくなる。早すぎる死だった。
2016年。監督=森 義隆。
出演=松山ケンイチ(むつ市出身)、
東出昌大、
リリー・フランキー、
染谷将太ほか。
ブルーレイがKADOKAWAから販売中。124分。カラー。
②『 破 戒 』…心を打つ差別への怒り
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自分のルーツを明かすだけで差別の対象になる。それは、どんなにつらい、悔しいことだろう。
島崎藤村の長編小説を映画化した市川崑監督「破戒」は、そうした理不尽な身分差別にさらされた青年の苦悩を、真正面から描いた作品だ。
明治時代後期の長野県。小学校の教師、瀬川丑松(市川雷蔵)は、被差別部落の出身であることを、周囲に隠して生きてきた。決して出自を打ち明けるな、という父親(浜村淳)の固い戒めを、守り抜いてきたのだ。
だが、父の突然の死がきっかけで、丑松の決意が揺らぎ始める。被差別部落の出身であることを公にしている解放運動家、猪子蓮太郎(三国連太郎)との出会いも、大きな影響があった。やがて学校で丑松の出自についてうわさが広まる。親友の教師、土屋(長門裕之)は、彼は"普通の人"だとかばうが、その言葉は逆に丑松を傷つける。
監督の妻で、名脚本家として知られた和田夏十のシナリオが素晴らしい。さまざまな出来事が重なり、丑松が追い詰められていくストーリーを縦糸に、周囲の人々の普段は隠している欲望や本音も引きずり出していく。
心を打つのは、父の戒めを破ってしまい、絶望の淵に沈む丑松に、猪子の妻(岸田今日子)が語りかける場面だ。「うわさするなら、させておきなさい」「差別するのは間違っている」「いつかこういうことが問題にならぬ世の中がくるだろうと信じている」。原作にはないこれらのせりふは、悲しみと静かな怒りに満ち、60年以上たった今も力を持っている。
雷蔵が美しい。同じ市川崑監督とのコンビの「炎上」に通じる、陰のある青年を演じて輝いている。丑松が下宿する寺の養女、お志保を演じた藤村志保は、これが実質的なデビュー作。原作者の名前「藤村」と、役名「志保」から名付けられた芸名にふさわしい、気品ある演技を見せる。
撮影・宮川一夫、音楽・芥川也寸志、美術・西岡義信、照明・岡本健一と、日本映画黄金期を代表するスタッフが勢ぞろい。雪の中で猪子が襲われる印象的な映像や、アップを効果的に使って心情を表業する技巧は、まさに一級品だ。
1962年。監督=市川 崑。
出演=市川雷蔵、
長門裕之、
藤村志保、
三国連太郎ほか。
キネマ旬報ベスト・テン4位。「破戒 修復版」のブルーレイがKADOKAWAから販売中。119分。モノクロ。
③『兵隊やくざ』…はみ出し者ゆえの闘い
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増村保造監督「兵隊やくざ」は、旧日本軍で横行していた理不尽な暴力に、敢然と反逆した2人の兵隊の物語だ。「悪名」「座頭市」に続く、勝新太郎主演の人気シリーズの第1作。田村高広との絶妙なコンビで、やんちゃなヒーローが自由を求めて大暴れする。
1943年、旧満州(中国東北部)の北部。4万人が駐留する軍の兵舎に、新年兵が配偶されている。その中に、浪曲師の門を追われ、やくざになった大宮貴三郎(勝)がいた。部隊の上層部は、礼付きの乱暴者である大宮が問題を起こすのを恐れ、大学出のインテリ、有田上等兵(田村)に、指導係を命じる。
有田は軍隊で大嫌いで、幹部試験をわざと落ち、満期除隊の火を待ち望んでいる3年兵。大宮の面倒をみるうちに、弱きを助け、強きをくじく彼の人柄に引かれていく。
大宮が、浴場で暴力を振るう砲兵隊員に怒り、彼ら全員をたたきのめす全裸の乱闘シーン。砲兵隊員の上官、黒金伍長(北城寿太郎)の報復を有田が阻止し、逆に大宮が黒金を徹底的にやっつけるシーン。アクション場面は痛快で迫力満点だ。
けんかはめっぽう強いが争いが絶えない大宮を、有田が知恵を絞って守り続け、2人は次第に、強い絆で結ばれていく。
満州で3年間軍隊生活を過ごした有馬頼義の小説「貴三朗一代」が原作。終戦前に3カ月、陸軍に入隊していた増村は「(軍隊は)若い士官が天皇陛下の名を借りて、どんな乱暴も蛮行もできる特殊な世界でした」と、自作の解説で記述。大宮と有田の2人は、軍隊組織からはみ出した落後者だったからこそ、巨大な敵に堂々と歯向かえた、と自ら分析している。
勝が、乱暴だが無邪気で愛すべき点がある大宮にぴったり。ナレーションも担当した有田役の田村が、それを柔らかく受け止める演技で、物語に説得力を与えている。
読書を愛し暴力を嫌悪する有田は、決して弱い人間ではない。いざとなると、年功序列主義の軍隊の慣行を利用し、大宮の暴力にゴーサインを出すこともある。大詰めで、2人の関係ががらりと変わるのも面白い。「泥の河」と並ぶ、名優の代表作だ。
1965年。監督=増村保造。
出演=勝新太郎、
田村高広、
淡路恵子、
北城寿太郎ほか。
大映製作のシリーズ全8作を収録した「兵隊やくざDVD-BOX 新価格版」がKADOKAWAから販売中。第1作は102分。モノクロ。
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いかがでしょうか。
※多数に観られるのでしたら、こちらをお薦めします。
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