§::万華鏡∞日記::§

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【映画】2023年9月の「もっと知りたい日本映画 名作から話題作まで」の紹介します!?河北新報夕刊のまとめ。。(´・ω・`)


こんにちは、ハクです。


毎週「河北新報夕刊」から
様々な良い映画を毎週で紹介されています、と
私は毎月まとめて、こちらに載させて頂こうと思いました。
"紹介文"も、いい参考文です。あ~読みたい。


( ´,_ゝ`)プッ



それでは、映画の紹介について、
文は「河北新報」文を引用いたします。ご了承ください。


では、ご覧くださいませ。死角に、ご注意を。


 ◇


『乱』…戦い続け滅びゆく人間
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  どれだけの情熱とエネルギーと資金があれば、こんな途方もない映画ができるのだろう。


  黒沢明監督「乱」を見るたびにそう思う。年を取るにつれ、この映画がつくられたこと自体が希望だと感じるようになった。黒沢の全30作中で一つの頂点をなす、様式美を究めた映画だ。


  戦国時代、戦を重ねて領内を平定した武将、一文字秀虎(仲代達矢)は70歳になり、権力の座から退くことを決心する。隣国の領主らを招いた狩りの後、3人の息子に向かって、長男、太郎(寺尾聡)に家督を譲ると発表。次男の次郎(根津甚八)と三男の三郎(隆大介)に、力を合わせて国を守るように申し渡す。


  太郎と次郎は父の決定を喜ぶが、三郎は兄弟同士の争いを招く愚かな提案だと率直批判する。激怒した秀虎は、三郎を追放し、結局、太郎と次郎に裏切られていく。


  戦国武将、毛利元就の「三矢のおしえ」をシェークスピアの悲劇「リア王」の筋立ての中に入れ込んだオリジナルストーリー。展開は早く、1時間ほどで、秀虎が滞在している城が、太郎と次郎の大軍に襲撃されるすさまじい戦闘場面が始まる。


  おたけびや悲鳴、戦闘の音は無く、悲哀に満ちた音楽が流れる中で、地獄絵のような光景が描かれていく。次郎の側近、くろがね(井川比佐志)による太郎暗殺のエピソードをはさみ、燃え上がる城から幽鬼のような秀虎が現れるシーンまで約15分。何度見ても圧倒される迫力のある映像だ。


  その後は、かつて秀虎に一族を殺された太郎の正室かえでの方(原田美枝子)が、次郎を籠絡し、恨みを晴らそうとするたくらみや、父の救出を目指す三郎の軍勢が、次郎の軍と対立する戦いなどが描かれていく。秀虎に従う狂言師的な家臣、狂阿弥(ピーター)、秀虎に親を殺され、自らも目をつぶされた少年、鶴丸(野村武司、現・萬斎)。彼らが象徴するものを書き出せばきりがない。


  「天の視点から、人間のやっていることを俯瞰ふかんの目で見て描きたい」。製作発表での自信たっぷりな黒沢の発言に反発した時もあったが、今はその言葉で胸に落ちる。殺し合いをやめられない人間たちを、見続けてきたせいだろうか。


  (共同通信編集委員・立花珠樹)


-REY」がKADOKAWAから販売中。162分。カラー。


『誘拐報道』…犯罪との苦闘
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  伊藤俊也監督「誘拐報道」は、1980年に実際に起きた小学生誘拐事件を題材に、事件発生から数日間の緊迫した動きを、さらざまな角度から描いた作品だ。


  被害者の両親、犯人とその家族、警察側、報道陣…。登場人物が多いが、話が混乱することはない。さりげない場面もおろそかにしない丁寧な演出で、人々の感情を生々しく映し出した。


  関西の私立小学生1年生(和田求由)が帰宅途中に誘拐され、小児科医の両親(岡本富士太秋吉久美子)に、身代金を要求する脅迫電話が入る。届けを受けた警察は、マスメディアに対し報道協定の締結を要請。各社は取材活動と報道を自制することを決める。


  原作は、読売新聞大阪社会部による同名のノンフィクション。制限された状況下で、事実に肉薄しようとする記者たちの苦闘が中心となる。


  映画も、原作に即したドキュメンタリー的なタッチで始まるが、犯人の古屋数男(萩原健一)が登場すると、一変する。


  誘拐した子どもを車のトランクに隠し、雪道を丹後地方の実家に向かう古屋が、海岸沿いの電話ボックスに入って脅迫電話をかける。望遠レンズで撮った電話ボックスと、その先に広がる荒れた海。印象的な映像とともに、古屋の心境が微妙に変化していくのが、よく伝わってくる。萩原のとりつかれたような演技と、夫の借金に気づき苦しむ妻(小柳ルミ子)の熱演が、物語を引っ張る。


  反権力のヒロイン「女因さそり」シリーズ3部作で知られる伊藤は、萩原の魅力を存分に引き出しながら、誘拐という犯罪には全く同情の余地がないことを、被害者の苦労を通して表現した。父親役の岡本が、自宅に詰めている刑事たちへのいら立ちを抑え、チャーハンをむさぼり食う場面は衝撃的。母親役の秋吉の好演も光った。


  丹波哲郎三波伸介平幹二郎伊東四朗ら豪華な顔ぶれの中で、犯人の娘を演じた高橋かおりが、重要な役を担った。父を思う娘の言葉を聞いた若い記者(宅麻伸)が上司にうそをつく場面は、40年以上たった今も、報道の役割とは何かと問いかけてくる。


  (共同通信編集委員・立花珠樹)


 1982年。監督=伊藤俊也
     出演=萩原健一
        小柳ルミ子
        岡本富士太
        秋吉久美子ほか。
  キネマ旬報ベスト・テン9位。DVDがバップから販売中。134分。カラー。


『濹東綺譚』荷風の半生 伸びやかに
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  新藤兼人監督「濹東綺譚ぼくとうきだん」は、春をひさぐ女性とのひそやかな恋を中心に、作家、永井荷風の後半生を描いた作品だ。


  老いと性、孤独、そして死。時代背景である戦争を含め、重いテーマを扱った映画なのに、不思議なほどに伸びやかなのは、監督の荷風に対する深い愛情が作品を貫いているためだろう。


  映画は、1920年(大正9)年5月23日、ペンキ塗りにちなんで「遍奇館へんきかん」と名付けた荷風(津川雅彦)の新居を、母(杉村春子)が訪ねてくる場面から始まる。


  荷風の日記「断腸亭日乗」の記述通りだ。この後しばらく、囲っているお歌(瀬尾智美)やカフェで働くお久(宮崎美子、当時は淑子)、待合で出会った黒沢きみ(八神康子)ら、さまざまな女性と関係を持つ荷風の生活が描かれていく。


  36(昭和11)年、2月24日、当時56歳の荷風は「余去年の六、七月頃より色慾頓挫いろよくとんざしたる事を感じ出したり」と日記に書く。だが、落ち込んでいた彼は「ぬけられます」という看板がある迷路のようなあ玉の井の路地で、住み込みで働く若い女性お雪(墨田ユキ)に出会ったことで、活気を取り戻していく。


  このあたりで、実はこの映画が、荷風の代表作である小説「濹東綺譚」を、荷風の実人生と重ね合わせた創作であることが分かってくる。名脚本家・新藤が自ら健筆を振るったことは言うまでもない。大胆な性愛シーンに目を奪われがちだが、お雪の雇い主の女性(乙羽信子)の息子(大森嘉之)が戦死するエピソードなどを挟み、時代の空気をきちんと映しているのが、さすがだ。


  津川が、色気がある二枚目という持ち味を存分に生かして、孤独だが自分の生き方を貫いた荷風を魅力的に演じた。オーディションで抜てきされた墨田も、これが初の本格的な演技とは思えないほど、遊里に生きる女性のからりとしたたくましさを表現した。


  タイトルの背景の情緒あふれる絵は、小説「濹東綺譚」が新聞連載された際に人気を集めた木村荘八の挿絵。東京・浅草の洋食店アリゾナキッチン」や、千葉県市川市の「大黒屋」など、荷風が通った飲食店が登場するのも、荷風ファンにはうれしい。


  (共同通信編集委員・立花珠樹)


 1992年。監督=新藤兼人
     出演=津川雅彦
        墨田ユキ
        乙羽信子
        杉村春子ほか。
  キネマ旬報ベスト・テン9位。DVDがオデッサ・エンタテインメントから販売中。116分。カラー。


『下町の太陽』…山田監督の原点感じる
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  「下町の太陽」は、山田洋次監督の長期デビュー初だ。「男はつらいよ」シリーズの柴又と同じ、東京の下町情緒にあふれた町が舞台で、ヒロインを演じるのは「とらさんの妹さくら」でおなじみの倍賞千恵子。まさに山田映画の原点という言葉にふさわしい一作だ。


  寺島町子(倍賞)は、東京都墨田区のせっけん工場で働く若い女性。母親は病死したが、祖母、父、2人の弟と一緒に仲良く暮らしている。


  同じ工場の事務職員でボーイフレンドの毛利(早川保)は、正社員を目指し、社内試験の勉強に励んでいる。彼の夢は、都心の本社勤務になり、町子と結婚して国外の団地で暮らすことだ。町子はその気持ちは知っているが、元同僚の新婚生活を見て、家族を守ることだけが女性の幸福ではない、と感じ始めている。


  そんな彼女の前に、鉄工所で働く青年北(勝呂誉)が現れる。通勤電車で見かけた町子に引かれ、近づいてきたのだ。初めは警戒していた町子は、北の誠実な人柄を知り、一晩だけデートに付き合う。しかし、結局、毛利の存在を告げ、北は傷心で去っていく。


  その後、ある交通事故がきっかけで、町子は自分が本当はどう生きていきたいのかを自覚することになる。


  タイトルで流れるジャズ風な音楽は、反抗的で前衛的な響きがする。だが中身は、いかにも山田らしい真面目さが全編を貫くオーソドックスな青春映画だ。その後の山田作品で繰り返し取り上げられてきたテーマや映像も、既にこの中にある。


  例えば、北が町子に、自分は母親と縁が薄いと告げる言葉は、「男はつらいよ」の寅も同じような寂しさを抱いていたことを思い出させる。町子を乗せて走り始めた都電に北が追いすがる場面は、柴又駅での寅とさくらの別れに重なる。見舞いの果物かごを「メロンが入っている」と町子の近所の人たちが値踏みする場面は、メロンを食べ損ねた寅が激怒する爆笑シーンを思い起こさせる。


  山田は、60年前のこの作品から90作品の最新作「こんにちは、母さん」まで、庶民の哀歓を描き続けてきた。作風を貫くことのすごさを改めて感じる。


  (共同通信編集委員・立花珠樹)


 1963年。監督=山田洋次
     出演=倍賞千恵子
        勝呂誉
        早川保、
        待田京介ほか。
  DVDが松竹から販売中。86分。モノクロ。


青春デンデケデケデケ…地方高校生の情熱描く
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  大林宣彦監督「青春デンデケデケデケ」は、1960年代半ばのエレキブームを背景に、バンド活動に情熱を燃やす地方都市の高校生を、生き生きと描いた映画だ。


  ザ・ベンチャーズの「パイプライン」、チャック・ベリーの「ジョニー・B・グッド」などの名曲が流れる中で、若者たちが繰り広げるドラマは記憶の玉手箱を開けるように懐かしい。「転校生」「時をかける少女」などに連なる大林・青春映画の傑作だ。


  65年3月、香川県観音寺市。15歳の藤原竹良(林泰文)は、ラジオから流れてきたエレキギターの「デンデケデケデケ」というサウンドに、雷に打たれたような衝撃を受け、ロック音楽の道を目指すと決める。


  翌月、高校に入学した竹良は軽音楽部の部屋を訪ね、留守番の白井(浅野忠信)と意気投合。1年生だけでロックバンドを結成することにする。竹良は、寺の息子で仲良しの合田(大森嘉之)を説得。ブラスバンド部員だった岡下(永堀剛敏)も引き込み、4人のメンバーがそろった。


  4人はアルバイトや家業の手伝いで稼いだ金で楽器を購入したが、練習場所がない。苦労している彼らを見て、高校の英語教師、寺内(岸部一徳)が、顧問になるから部活部にすればいいと助け舟を出してくれた。


  主人公・竹良と同学年で、観音寺市生まれの作家、芦原すなお直木賞受賞小説が原作。大林は観音寺でロケ撮影し、地元の方言も生かすなど、原作の忠実な映画化にこだわった。複数の16㍉カメラで撮った映像はライブ感にあふれ、時にはフレームから人物がはみ出すこともあるが、それをマイナスと感じさせない。竹良が画面に向かって語りかける場面など自主映画ふうなタッチも、内容とよく合っている。


  バンドのメンバー、学生の友人、先生、家族、町の人たち。登場人物が皆優しく、善意の持ち主であるのを、甘いと感じる人もいるかもしれない。だが、10代の頃を振り返れば、そうした人々が確かに周囲にいたし、誰かに助けてもらったおかげで大人になることができたのだと思う。そんな素直な気持ちにさせてくれる映画だ。

  
  (共同通信編集委員・立花珠樹)


 1992年。監督=大林宣彦
     出演=林 泰文、
        大森嘉之、
        浅野忠信
        永堀剛敏ほか。
  キネマ旬報ベスト・テン2位。ブルーレイがTCエンタテインメントから販売中。135分。カラー。


 ◇


いかがでしょうか。


※多数に観られるのでしたら、こちらをお薦めします。


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