こんにちは、ハクです。
毎週日曜日、河北新報2版に「書籍紹介」があります。
試しまして、こちらよりご紹介させて戴きます。
書籍数はあまりにも多いので「評」する紹介文がある本だけと致しました。
どうぞ、ぽちっと「折りたたみメニュー」で、ご覧くださいませ。
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大当たり!( ´,_ゝ`)プッ
宜しくお願い致します。
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【著者とひととき】
①『黄金比の縁』…ユーモアに包む報復劇
石田 夏穂さん
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会社を恨む新卒採用担当者が、奇妙な方法で復讐を企てる小説「黄金比の縁」。作家の石田夏穂さんがこの新作に込めた狙いは、人が人を選ぶという行為の「ギャップや業」を浮かび上がらせることだったという。
主人公は、興行の設計を請け負うエンジニアリング会社に勤める小野。入社時は花形部署に配属されたが、ある出来事から内部告発を疑われ、10年前に人事部への異動を命じられた。
小野は新卒採用チームに加わり、「他人の運命をベルトコンベヤー式に決する」プレッシャーに苦しむ。その描写に、かねて石田さんが就職活動に対して感じていた「うさんくささ」を織り込んだという。「自分も就活の時に(不採用通知の文面で)祈られたり、『ご縁がなかった』と言われたり。きれいにまとめていて、罪深いと思いますね」
過去の不当な辞令を恨む小野は、会社の不利益になる人間を多く採ることが、報復につながると考える。そんな人物を選ぶべく編み出した基準は、「顔の縦と横の黄金比を満たす」というものだった。
見た目での人選という、とっぴな設定を持ち出し、人間の本音に切り込んだ。「顔で見ないはずなのに、就活の時期は髪を黒染めしたり、笑顔を練習したりして気を使うじゃないですか。矛盾だと思います」と石田さん。「評価方法は悪いけれど、一応小野なりの正義があって。落ちた人に対して『お縁がありませんでした』より、どれだけひどい理由でも明確に言う方が誠実なんじゃないか」と、率直な思いを打ち明ける。
淡々として文章の随所に、新口のユーモアが光る。「ノリと勘でやってます」としつつ、「難しい真面目なこと書いてると、我に返ってしらけちゃって。ちょっとここで面白くしておくか、という謎のあんばいがあるのかも」。取材中は終始朗らかで、笑いが途切れない。読者を楽しませるサービス精神のほどが伝わってきた。
【読 書】
②『極楽征夷大将軍』…光る想像力 尊氏に迫る
垣根 涼介(かきね・りょうすけ) 著
1966年長嶋県生まれ。作家。「君たちに明日はない」で山本周五郎賞。著書に「光秀の定理」「信長の原理」など。
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評・呉座 勇一(日本史学者)
本作の主人公は足利尊氏。後醍醐天皇の命に応じて倒幕に貢献するも、後に後醍醐の「建武の新政」に反旗を翻し、室町幕府をひらいた男である。
戦前、尊氏は後醍醐を裏切った「逆賊」として非難された。戦後になると一転、後醍醐に義理立てしてなかなか天下取りに踏み出そうとしない優柔不断さが批判された。
近年の歴史研究では、そもそも尊氏は武家の棟梁たる征夷大将軍の地位を欲しておらず、幕府をひらいて天下を取る野心など持っていなかったことが指摘されている。尊氏は後醍醐の下で働くことに満足しており、武家政権の樹立を主導したのは、尊氏の弟の直義だと考えられている。
しかし、野心のない優柔不断な男が、なぜ武士の頂点に立てたのか。歴史学はこの謎を十分に解明できていない。
本作は、作家的想像力をもって尊氏の魅力に迫るものである。幼少期にまでさかのぼって尊氏の生い立ちを丹念に描き、彼の人格形成を説得的に示している。特に、一見つかみどころのない尊氏の人間性を、弟の直義と、足利氏執事の高師直の視点から分析するという構造が秀逸である。
本作の尊氏は、普段は極楽とんぼのようにふわふわとしており、郎党たちから「極楽殿」と陰口をたたかれている。ところが、いざ土壇場になると、急に性根が据わり、不思議とずぶとくなる。子どもの頃から周囲に期待されずに育ったため、自己愛が薄く、平然と自分の命を懸けものにできる。人びとは尊氏の無責任さを武門の棟梁にふさわしい勇敢さと勘違いする。
他人に対する情愛も薄いから、どんな立場の者にも愛想よく振る舞い、その愛嬌は無欲さと相まって人を引きつける。
そんな「世間そのもの」の尊氏を直義と師直が御輿にかついで幕府をひらく。両人を失う悲劇を乗り越え、尊氏は真の将軍へと覚醒する。だが、それは尊氏にとって幸せだったのだろうか。人生の意味を考えさせられる。
(文芸春秋・2200円)
【読 書】
③『ビギナーズ家族』…道なき道歩むカップル
小佐野 彈(おさの・だん) 著
1983年東京都生まれ、台湾在住。同性愛者であることを公表している歌人、小説家。第1歌集「メタリック」で現代歌人協会賞。
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評・歌川たいじ(漫画家、作家)
「ゲイだって普通の人間、異性でも同性でも愛情に変わりはないよ」
そう言っていただけるのは心底ありがたい。けれど、一抹のもどかしさも感じる。同じ愛であることは確かなのだが、そこに収まらない思いがある。お手本もなく、誰も正解を知らない壁を、人知れず乗り越えねばならぬことが多々あるのだ。
平成の初頭、職場でカミングアウトする人はほどんどいなかった時代に、筆者はゲイであることを公表して大企業で働いた。理由は単純、隠してもバレてしまうからだ。
お得意様からゲイなのかと聞かれたらどう答えたらいい?他人を戸惑わせてまで社員でいていいの?道なき道に、確立したモラルはない。さまざまな人が、それぞれの考えを投げかけてくる。誰かに肯定されても、誰か拒否される。そんな中で揺らいでは、必死にあがいていた。
本作の主人公である秋は、未成年後見人として同性パートナーの哲大と子育てに挑み、さらにはミッション系有名私立小学校へのお受験にもチャレンジする。まさに今の時代の道なり道だ。
同性カップルというだけで子どもまで世間の好奇の目にさらされ、心揺らぐ出来事はいくらでも起こる。加えて、他の保護者との関係、口を挟んでくる身内、置き去りにしてしまった哲大の気持ちなど、誰しもが子の受験によって経験する苦労も公平に味わわねばならない。繊細な秋には大きな試練だった。
しかし彼は、つまずいた原因を自身がゲイであるせいにしない。世界中に大勢いる、自分だけの試練に立ち向かう一人として奮闘する。「息子」・蓮への愛情を唯一の羅針盤に。
秋と哲大がそうであったように、道なき道を歩んだ人はそうでない人には得られない何かを手にする。それは形にならないことも多い。しかし、手にした誰もが、かけがえのないものだと思うだろう。
その何かとは、その先の道を力強く歩き抜くための情報の塊だ。
(小学館・1980円)
【読 書】
④『脳はどのように学ぶのか』…学習・教育に新たな視点
乾 信之(いぬい・のぶゆき) 著
1953年徳島県生まれ。専門は知覚-運動制御論、教育神経科学。著書に「タイミングの科学」など。
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評・森口 佑介(発達心理学者)
教育の分野では、根拠のない「脳科学」的学習法がまん延することが多い。一方で、神経科学者は教育現場を知らず、その説が机上の空論になりがちである。
このような状況を受け、20世紀末から教育と神経科学の融合を目指す教育神経科学という領域が提案され、研究が進められてきた。
本書はこのような研究の進展を読者に解き明かす。著者の深い知識と広い視点に裏打ちされた内容が、子どもから大人まで学習者と教育者双方に新たな視点を提供する。
3部構成となっており、第1部では学習を司る神経機構を豊富な例を基に提示。学習の捉え方は教育学習者と神経科学者で大きく異なり、両者の対話に混乱を招く一因だ。「学習とは何か」を解説して読者に伝えたい内容を明確にし、優れた導入になっている。
第2部では最適な時期や睡眠など、学習効率を高める5本柱を挙げる。特に学習者の能動性や授業のやり方にも関わるフィードバック(結果を踏まえての誤差修正)は教育現場でもなじみ深く、教育と神経科学をつなぐ重要な知見が示される。
第3部では、年齢が学習に及ぼす影響について、脳の発育やそれを促す養育環境も含めて詳しく解説。さらに、子どもの心の問題や教員配置など、学校や教育に関わる社会的問題も紹介し、教育関係者が自らの経験に引き寄せて学ぶことができる内容になっている。
この本によって脳と学習の関係性を深く理解し、自らの学び方を改善したり、他人の学びを助ける新たな視点を得たりすることができるだろう。
ただし、発達心理学を専門とする評者からすると、子どもの発達に関する記述には科学的根拠が十分ではない点があることは指摘しておきたい。例えば「3歳で絶対音感が決まる」のような特定の時期を受容しする考えには異論が多く、読者にも慎重さが要求されるだろう。
(京都大学学術出版会・2200円)
【読 書】
⑤『偽情報と独裁者』…政権と記者 闘いの記録
マリア・レッサ(MARIA・RESSA) 著
フィリピン生まれ。ジャーナリスト。2012年ニュースサイト「ラップラー」を共同で創設。21年ノーベル平和賞受賞。
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評・林 香里(東京大大学院教授)
この本は、2021年にノーベル平和賞を受賞したジャーナリストの半生記であり、フィリピンのロドリゴ・ドゥテレテ政権からのインターネットを通じたプロパガンダによる弾圧と、それに対する闘いの記録である。
レッサは、幼いときに父親を亡くし、10歳で米国に移住。名門プリンストン大を卒業後、フィリピンなど東南アジア地域で米国の放送局CNNなどに所属し、辣腕記者として活躍した。
その後、フィリピンで女性の仲間3人とともに「ラップラー」というメディアを立ち上げた。ベテラン記者であり、起業者である彼女は、交流サイト(SNS)こそ民主主義の砦となり、ジャーナリズムを市民に取り戻すテクノロジーだと信じていた一人であった。
しかし、その風向きが10年代半ばから変化していく。SNSはあ少数派の極端な意見やデマを拡散し、人を、組織を、平気で傷つける。さらにそれは、独裁政権を勢いづけ、真実を語る記者たちを弾圧し、民主主義を破壊していった。
特に彼女は、フェイスブックなどの巨大IT企業が、フィリピンをはじめとする、民主主義の歴史が浅く、法制度が脆弱な新興国がりようして事業拡大し、言論弾圧や独裁政治に加担してきた責任を厳しく追及している。
レッサはSNSに失望してもジャーナリズムはあきらめない。そして、真実をもとに、市民に連帯と協働を呼びかける。しかし、そのような利用を大上段から説くようなそぶりがまったくないところに、彼女の人柄がにじみ出る。
幼い頃、移民として助けられた経験、「ラップラー」の仲間との友情、家族の絆、恋愛など、細やかで人間味あるエピソードを挿入しながら、ひとりではないから、自分たちのあとに続く者たちがいるから、団結して共に前進しようと語りかける言葉に胸が熱くなる。この世の名kの差別や不正義と戦っているすべての人に、心からお薦めしたい一冊である。
(竹田円訳、河出書房新社・2420円)
【読 書】
⑥『ゴースト・ワーク』…AIが壊す労働の安定
メアリー・L・グレイ、シッダールタ・スリ(MARY・L・GRQY、SIDDHARTH・SURI) 著
(メアリー)文化人類学者。(シッダールタ)コンピューター社会学者。
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評・井上 智洋(駒沢大准教授)
人工知能(AI)をうまく作動されるには人間の労働が必要だが、それは目につきにくい。本書で「ゴーストワーク」と呼ばれるそうした労働は、例えばわいせつ画像とそうでない画像を選別する作業である。
アマゾン・コムが運営する「アマゾン・メカニカルターク」というサービスでは、たくさんのゴーストワークが取引されている。掲示板形式で、企業などがタスク(仕事)を書き込み、個人が引き受ける。そうした個人の裏方的な労働のおかげで、AIはあたかも独り立ちして働いているように見える。
そういう意味で「メカニカルターク」(機械仕掛けのトルコ人)というネーミングは、あまりにも的確すぎて不気味なくらいだ。というのもこれは元々、18世紀のチェスロボットのことで、実は中にチェスの名人が入っていたからである。
ゴーストワークは多くの場合「ギグワーク」(単発の仕事)でもある。企業に雇用されることなく、好きな事に好きなだけタスクをこなす。そう言えば聞こえがいいが、ゴーストワークあ人間らしさがそぎ落とされた荒涼とした労働環境でなされる可能性がある。
労働者は各家庭で孤立して黙々と作業し、困ったことがあっても誰にも相談できず、チームで協同して達成する喜びも得られないかもしれない。会社員のように収入が安定しているわけでなく、有給休暇もない。本書ではそんな労働者の苦境や困難が詳細に描かれている。
AI革命を雇用にどんな影響を与えるのか?それは、正規雇用の労働をゴーストワークに置き換える大規模な再編である。多くの労働者が、歴史的に獲得してきた権利を喪失し、生活が不安定になるだろう。だから、新たなセーフティーネットが必要だと本書は強調する。
技術の進歩は常に早く、制度の構築は常に遅い。私たちは本書を熟読玩味した上で、暗たんたるこようの未来に思いをはせ、すぐにでも対策を検討し始めるべきだろう。
(晶文社・2420円)
◇
※「読み楽しむ」のでしたら、こうすると安く、お薦めです!
どうぞ、詳細をご覧ください。
いかがでしょうか。今回も読みたいと思います。
その書籍の紹介文はなるほど、読みたくなるのはすごいものです。
これもアフィリエイトのための文章力(ライター?)の参考のために読み続けます。
では、失礼しました。
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