こんにちは、ハクです。
毎週「河北新報夕刊」より、
毎週の話題の映画をご紹介されて言います。
今回は「追想 この一作 映画記者のつぶやき」といいます、
「新聞記者」だった方が、昔に観た映画を添えて、"紹介文"を戴くようです。
引用いたしますが、ご了承ください。
では、ご覧くださいませ。いい午後を過ごして。
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『アラビアのロレンス』
白人青年 悲しき夢物語
砂漠の地平線にポツンと見える黒い影。蜃気楼か、それが照り付ける太陽の下、ユラユラと大きくなりながら近づいている。観客も食い入るように砂漠のその一点だけを凝視する。点が一つの形を取り始める。次の瞬間、銃声が鳴り響く。黒い影はラクダに乗った男だった。その男が撃った。
正体が分かるまでみなぎる緊張感、サスペンス。それはまさしく映画館の大画面だからこそ味わえた体験だった。映画館で見る愉悦を教えてくれた一本が、デビッド・リーン監督「アラビアのロレンス」(1962年)だった。71年9月、石巻テアトル東宝でリバイバルを見た。映画に見覚めてまだ9ヵ月、高校1年の時である。
第1次世界大戦後、部族間で割れるアラブ民族を、身を投じて統一しようとしたのが英国の青年T・E・ロレンスだった。アラビア人たちに「アラビアのロレンス」とあがめられながら、最後は植民地支配をたくらむ英国政府に使い捨てにされた悲惨の英雄だった。
映画は栄光と挫折の中に生涯を閉じたロレンスの実像と虚像に迫る。民族衣装をまとってアラビア人になりきろうとしたが、衣装の下の肌の色は白人という現実を突きつけられた青年が見た悲しい夢物語だった。
でも、個の生き方を模索していた16歳の青年には、ロレンスの言葉が響いた。
「強い人間は運命を変えることができる」
演じたピーター・オトゥールが本物のロレンスに見えた。
「アラビアのロレンス」のパンフレット(右)と洋書のメイキング本の表紙(エイドリアン・ターナー著)
(元三陸河北新報社記者・久野義久さん)
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いかがでしょうか。
いつも昔の映画ですが、DVD販売があるそうで助かります。
次回も宜しくお願いします。
それでは、失礼しました。
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