【書籍】話題の本をピックアップ!ぜひ、ご紹介します!?/2023.03.20。。(´・ω・`)
こんにちは、ハクです。
毎週日曜日、河北新報2版に「書籍紹介」があります。
試しまして、こちらよりご紹介させて戴きます。
書籍数はあまりにも多いので「評」する紹介文がある本だけと致しました。
どうぞ、ぽちっと「折りたたみメニュー」で、ご覧くださいませ。
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大当たり!( ´,_ゝ`)プッ
宜しくお願い致します。
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【著者とひととき】
①『黄色い家』…少女のひたむきな半生
川上未映子さん
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犯罪、家族、青春…。さまざまな要素が混然一体となり、家出少女・伊藤花のひたむきな半生が紡がれる。「真面目に、必死に生きる花からエネルギーを受け取ってもらい、いっぱい笑ってほしい」。川上未映子さんは新作長編「黄色い家」に込めた思いを語る。
惣菜店に勤める花は、監禁傷害事件のニュース時期を目にし、自身の20年前を思い出す。東京・三軒茶屋のスナックで働きながら、母の友人である黄美子や他の家出少女らと一軒家で生活していた数年間。初めて得た小さな居場所を守るため、犯罪に手を染めていて…。
2019年の長編「夏物語」までは「フィギュアスケートのようにここで技術点を決めて、と考える」執筆スタイル。今作の場合、若くして仕事を始めた自身の経験に根差すこともあり、「プリミティブな体験に近かった」と振り返る。
「作家のボイスでなく、これまで出会った人たちの生き生きとした感じが総出でよみがえってきた。手持ちのもので生きる人たちのことが染み付いて、そのリアリティーが私を形作っている」と実感を込める。
「必死に生きると、上を下へのドタバタ劇になる。金、家、犯罪、これに青春が加わった時のカーニバルを楽しんでほしい」。花と黄美子の関係が軸となるが、野球賭博を取り仕切る在日韓国人の映水、花に仕事を回すヴィヴ、銀座のホステス琴美ら魅力的な脇役が物語に緩急を付ける。
親と子の結び付き、記憶の揺らぎといった普遍的なテーマも浮かび上がらせる。40カ国以上で刊行される「夏物語」に続き、今作にも早々に翻訳のオファーが相次いでいるという。「物事のラベリングをはがして、1回きりのものを受け取ってもらうために物語を作る。遠くの読者もぱっと思い出すような登場人物になっていたらうれしい」
(「黄色い家」は中央公論新社・2090円)
【読 書】
②『ワンダーランド急行』…「一歩間違った」異世界
荻原 浩(おぎわら・ひろし) 著
1956年埼玉県生まれ。作家。97年「オロロ畑でつかまえて」で小説すばる新人賞。「海の見える理髪店」で直木賞を受賞。
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評・松永 美穂(早稲田大教授)
首都圏に住む40歳のサラリーマンが、ある日職場に行きたくなくて、反対方向の下り電車に乗ってしまう。登校拒否ならぬ、出社拒否。気持ちはとてもよくわかる。誰だって、一度はそんな逃避を夢見たことがあるのではないだろうか。
一日のんびり山で過ごして帰宅したら、なんだか妻の様子が違う。翌日会社に行ってみると、さらに雰囲気も社屋も変わっている。主人公は、自分が異世界に来てしまったことを悟る。
日付は同じなので、タイムスリップではないのかもしれないが、これまで生きてきた世界とよく似ていながら、別の人間関係や秩序が支配する世界。自宅も同じ人物のはずなのに、自分だけ話についていけなくなっている。主人公は健忘症を装いながら、なんとか情報を集めてこの世界に順応しようとするのだが…。
一種の冒険譚として読めそうだが、冒険がなかなか終わらず、単純な夢落ちでもないため、とてもハラハラさせられる。元の世界に戻ろうとしてまた下り電車に乗ると、さらなる異世界が待ち受けている。いくつもの世界をさまよいながら、主人公は「私の人生の分岐点において選ばなかった道の先に広がっている世界なのでは」と考える。
主人公に関してはそうなのだが、社会の秩序については、コロナ禍がないかわりに別のウイルスで牛がいなくなっていたり、ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)が先鋭化して密告が横行していたりなど、同庁圧力の強い、生きにくい世の中になっている。
現代社会をシニカルにデフォルトし、こうあってほしくないと思う姿をユーモラスに描き出しているように見えるが、「一歩間違えばこうなり得る」危うさが潜んでいると思うと、笑ってばかりもいられない。
それにしてもこの著者は等身大の主人公を創り出すのがうまい。ダメなところもあるが憎めない主人公から目が離せない。
(日本経済新聞出版・2090円)
【読 書】
③『元の黙阿弥』…劇作家の胸の内 明かす
奥山景布子(おくやま・きょうこ) 著
1966年愛知県生まれ。作家。高校教諭、大学専任講師などを経て創作を始める。「平家蟹異聞」でオール読売新人賞を受賞。
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評・石山 俊彦(演劇評論家)
幕末から明治にかけて活躍した歌舞伎作者、河竹黙阿弥の芝居は今日も盛んに上演されている。弁天小僧の「知らざあ言ってぇ聞かせやしょう」(弁天娘女男白浪)、お嬢吉三の「月もおぼろに白魚の」(三人吉三巴白浪)など洗練された七五調の名ぜりふは、歌舞伎を知らない人でも耳にしたことがあるだろう。
黙阿弥には、晩年の肖像写真が何枚か残るが、そのどれも苦虫をかみつぶしたような不機嫌な表情である。本書はそんな黙阿弥の内なる思いを小説仕立ての一代記の中で解き明かそうとする。
黙阿弥の生きたのは幕末維新の動乱期。芝居を取り巻く状況は厳しかったが、幾多の名優、傑作の数々が生まれた。
「勧進帳」の初演で、黒衣(くろご)としてせりふを助けたことから五代目海老蔵(七代目団十郎)に目をかけられ、小団次とともに盗賊を主人公とした「白浪物」と呼ばれる世話物の数々を手がけ、初代左団次を引き立てた。悪疾で手足を切断しても舞台に立った伝説の女形三代目田之助や明治の名優九代目団十郎、五代目菊五郎らとの関わりが楽屋裏のドラマとして生々しく描かれる。仕立ては小説だが、著者は数々の史料を渉猟し、想像ではなく事実関係を丁寧に押さえており、描かれた内容はリアルで説得力がある。
「役者、見物、座元」への三親切を旨とした黙阿弥は、役者のわがままや海千山千の座元、見物の誹謗中傷などと折り合いを付けながら黙々と芝居を書き続け、第一人者の地位を築いた。旧幕府時代同様、何かと芝居に干渉する明治新政府に煩わされつつ、史実重視の「活歴劇」や新風俗を描く「散切物」で文明開化を応えようとした。天覧歌舞伎や「演劇改良」という官製運動の中で、御用学者に「無学」の輩と攻撃される不条理にもさらされる。
「黙阿弥」は晩年の隠居名であったが、劇界は楽隠居を許さなかった。本書からは多くを語ることなく世を去った黙阿弥の鬱憤が伝わってくる。
(エイチアンドアイ・1980円)
【読 書】
④『織物の世界史』…安価な服 現状を疑問視
ソファ・タンハウザー(SOFI・THANHAUSER) 著
1984年米国生まれ。作家、ミュージシャン、アーティスト。ニューヨークの美術大学で教えている。
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評・実川 元子(翻訳家)
自分の服がどう生産されたかを知りたいと考えた著者は、世界の織物生産値を巡る旅に出た。そこで知ったのは繊維製品の産業化の過程で、自然資源と労働資源が時代の支配者層に、収奪・搾取されてきた歴史である。
古代より人類は、住居周辺でリネン、綿や絹の原材料を収穫し、家庭で布や衣服にしてきた。だが欧州に後の資本主義につながる生産様式が浸透する17世紀ごろから、繊維製品は市場取引の重要な財となる。独占的・排他的な織物ギルドを仕切る男性たちは、市場拡大を阻害するという理由で安価な家庭的生産品を排除し、機織りや仕立てで生計を立てていた女性たちの仕事を奪っていく。
産業革命後、米国、そして本書で直接は書かれないが欧州の紡績・織布の工場では、若い独身女性が非常に安い賃金で働かされた。やがて奴隷取引によって、また植民地に生産を移してより安価な労働力を得た国家とその後ろ盾を受けた企業が競争力を獲得する。
繊維産業においては水や土地など自然資源も搾取された。綿栽培は大量の水を必要とするため、米国や中国の綿産地は水資源が枯渇寸前で、砂漠化が広がる。
19世紀後半から化繊が登場し、品質が安定した安価な繊維が大量生産される。労働者の健康被害も深刻になり、1900年代以降、全米各地で労働者による闘争が起き、組合が生まれた。そのことは米国が衣服製造拠点を国外に移す一因となる。
ファストファッションの台頭で服は使い捨てできるほど安価になった。一方、織物産業は「世界の廃水の五分の一を生み出し、世界の炭素排出量の一〇分の一を排出している」。衣服が生活に欠かせない私たちが今日からできることは何か?著者は「この服にはどんな歴史があるのか。この服の作り手は誰なのか」といった問いを何度も繰り返すことだという。まずは消費者も生産者も、立ち止まって現状に疑問を持つこと。そこから繊維産業の未来が開けるのではないか。
(鳥飼まこと訳、原書房・3960円)
【読 書】
⑤『香川にモスクができるまで』…夢かなえた奇跡の物語
岡内 大三(おかうち・だいぞう) 著
1982年生まれ。ライター、編集者。移民や少数民族、難民などを取材し、ノンフィクション記事を執筆する。
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評・本岡 典子(ノンフィクション作家)
米同時多発テロや「イスラム国」(IS)などの残虐行為により、イスラム教徒(ムスリム)が「怖い」「非文明的」などと偏見にさらされている。在日ムスリムの状況はどうなのか。著者は香川県のインドネシア人たちの「モスク(イスラム礼拝所)建立計画」を耳にし、現地に向かう。
「よう来てくれました。私フィカルね。いまからモスクの打合せするけんね」。流ちょうな讃岐弁で出迎えた男性。溶接作業員という彼の飾らぬ人柄に引かれ、半ば伴走しながら取材が進む。
「(お祈りができないと)心が落ち着かないし、とても悪い人間になった気がします」「私たち、日本人から『あなたテロリストやろ?』って言われることがあるんです」。そんなフィカルさんの言葉に触れ、技能実習生や留学生らのコミュニティーに入り込んでいく。
日本ではバブル経済期にイラン、パキスタン、バングラデシュから外国人労働者としてムスリムの移民が増え、今世紀初頭にモスク設立ラッシュを迎えた。だが、香川の計画は新型コロナウイルスのまん延と重なる。「留学生がバイトができなくて困っている」との声を受け、困窮者支援で喜捨の一部を寄付する動きが起こる。「人を助けることは神への貸し付けになり、徳を積める」「善意がよどみなく循環するシステムが構築されていて、善意は必ず帰ってくるとだれもが信じている」。著者は実感した。
移民の現状を伝え、助けたいという「無意識の上から目線の善意」は消え、「私たちが慣れ親しんだものとは違ったタイプの彼らの知的の存在と、その可能性」に気付いた著者。「共生と多様性の第一歩」で、人生観が変わるほどの出来事だったと振り返る。
圧倒的なコミュニティーの形成力と互助システムでモスク建立の夢を成就させた「奇跡」の物語。それはイスラム理解にとどまらず、少子高齢化で労働力を外国人に依存しながら、疎外や孤立、欠落感を生んでいる日本社会の脆弱さをも浮き彫りにする。
(晶文社・1980円)
【読 書】
⑥『ギャラリーストーカー』…美術業界全体への警鐘
猪谷 千香(いがや・ちか) 著
東京都生まれ。ジャーナリスト。経済新聞記者などを経て「弁護士ドットコムニュース」で記事を執筆。著者に「つながる図書館」など。
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評・山本 浩貴(金沢美術工芸大専任講師)
「ギャラリーストーカー」とは美術画廊に足しげく通り、作家につきまとう人を指す。大部分は中高年男性で、標的は若い女性が多い。作品購入をちらつかせ、承認欲求や性的願望を満たそうとする。しかも、ほとんどが買い手と売り手の非対称性を利用する卑劣さに無自覚だ。前半でそのおぞましい行動が記される。
だが、これは本書が迫る「闇」の一部に過ぎない。次に、本来は作家を守るべき美術関係者による性暴力やハラスメントに光を当てられる。ここでも被害者=女性、加害者=男性の構造は温存されがちだ。業界の権力を振りかざし、展覧会の参加や著名人の紹介をちらつかせて若い女性作家を支配下に置く男性作家やキュレーターの姿は、日本の美術業界に巣くう性差別の現実をよく表す。
本書冒頭で「なぜギャラリーストーカーが生まれてしまうのか」という問いが提示されるが、その答えとして著者は「美術業界そのものにハラスメントの温床になる特殊な伝統と構造、本質がある」のを発見する。それらの根底には、先述の女性への差別意識がある。
この事実にメスを入れた点に、本書が単なるルポルタージュを超えて美術業界全体への重要な告発・警鐘となり得ている所以がある。こうした差別構造の原因に不均衡なジェンダーバランスの美術大、ジェンダー意識を欠く男性教員が幅を利かせる美術教育を挙げていることも肝心な点だ。
終盤、希望が示される。例えば美術界のジェンダー問題やハラスメントの実態調査を行う「表現の現場調査団」や、変革を求めて大学に対して声を上げた学生の活動が紹介される。巻末には被蓋に遭った人のための対策や窓口も付され、実用性にも富む。
評者は男性で、大学教員、つまり「権力」側の人間だ。それを自覚した上で「まず隗(かい)より始めよ」であろう。通読し、改めて自分が何をすべきか考えなくてはならないと痛感した。
(中央公論新社・1760円)
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いかがでしょうか。今回も読みたいと思います。
その書籍の紹介文はなるほど、読みたくなるのはすごいものです。
これもアフィリエイトのための文章力(ライター?)の参考のために読み続けます。
では、失礼しました。
(´・ω・`) ご協力をお願い致します。